あしたの少女は実話でその後は?ネタバレで結末まで調べてみた!

映画『あしたの少女』は、2017年に韓国で実際に起こった事件をモチーフにした映画です。
韓国版タイトルを『次のソヒ』・英語版タイトルは『NEXT SOHEE』・原題は『다음 소희』を邦題で『あしたの少女』として、2023年8月25日(金)からシネマート新宿より全国公開されます。
韓国で2017年に起きた事件で、実話に基づいた作品です。
ここでは、ネタバレ覚悟で映画『あしたの少女』の結末やその後を調べてみました。
実話は、高校生の「ソヒ」が大手通信会社の下請けのコールセンター運営会社で、実習生として働き始めることから始まります。
ネタバレが苦手な方もいると思われますが、過酷な労働条件でやがて自死に追い込まれていくという日本でも通じる社会派ドラマです。
結末やその後を予測しながら観てみるのも、現代映画の楽しみ方の1つではないでしょうか。
では、初めていきましょう。
Contents
あしたの少女は実話でその後は?
この映画の監督を務めたのは、チョン・ジュリさんです。
今回の映画で『第23回 東京フィルメックス・コンペティション部門/審査員特別賞』を受賞しています。
チョン・ジュリ監督のプロフィールを見てみましょう、

出典元:https://www.flickr.com/
本名 | チョン・ジュリ(英語表記:Jung July) |
生年月日 | 1980年3月1日:43歳(2023年7月現在) |
国籍 | 韓国 |
学歴 | 成均館大学映画学科卒・韓国芸術総合学校映像院映画科 |
主な作品 | 『影響下にある男』(2007年短編映画) 『11』(2008年短編映画) 『私のフラッシュの中に入ってきた犬』(2010年短編映画) 『私の少女』(2014年初長編映画) |
前作『私の少女』から8年ぶりの新作となった本作『あしたの少女』で、2022年に「カンヌ国際映画祭」で批評家週刊閉幕作品として選ばれました。
その後も多数の国際映画祭で受賞しており、今回は日本のファンが待ち焦がれた劇場公開です。
あしたの少女は実話?どんな事件?

出典元:https://joji.uplink.co.jp/
韓国でこの事件が起こったのは、2017年1月のことでした。
映画で「ソヒ」という少女は、実際の事件の被害者「ホン・スヨン/18歳」で高校の卒業を目前に控えていた少女です。
高校の卒業実習という形で、2016年9月からコールセンターの現場実習生として働いていました。
しかしスヨンさんが高校で専攻していたのは、『愛玩動物学科』です。
コールセンターとはまるで関係性のない仕事に就かされました。
しかも、この業務の内容は「インターネットや携帯電話の契約を解除したい顧客の電話を受け、契約を継続するよう仕向ける業務」だったといいます。
そのためのマニュアルも存在していたという信じられない内容でした。
さらには「顧客対応回数」というノルマも課せられていて、その数に満たないと残業を余儀なくされるのです。
契約時に定められていた対価もきちんと支払われていなかったといいます。
成人並みの仕事をしていながら、スヨンさんは高校生という理由で安い対価だったことも、今回の映画『あしたの少女』の主人公「ソヒ」のケースとかなり似ているのです。
映画では、過酷な労働の中で神経をすり減らしソヒは一度「自殺未遂」を起こしています。
その前にも、コールセンターの上司が自殺しているというショッキングな出来事がありました。
実際のスヨンさんがいたコールセンターでは、上司ではなく先輩社員が自殺しています。
映画ではソヒが在籍中の出来事になっていますが、実際のスヨンさんのときはスヨンさんがコールセンターで働き始める2年前の出来事でした。
そのようなことがあったにも関わらず、スヨンさんの自殺を食い止めることができなかったことは、非常に遺憾なことこの上ありません。
ソヒが在学していた高校では、就業率を上げるためにソヒに辞められては困るのでソヒの訴えには耳を貸さなかったのです。
おそらくスヨンさんのときも、同じ扱いであったでしょう。
映画後半では、この問題をもう1人の主人公である刑事のオ・ユジン(ぺ・ドゥナ)が、事件の真相に迫り学校側や就業側の無責任な実態を暴いていきます。
実際のスヨンさんのときはどうだったかというと、実際にはスヨンさんの自殺後、事件はほとんど世間から注目を浴びることはありませんでした。
これは、コールセンター・学校・教育庁が表沙汰にならないようにスヨンさんの名前も学校名も業者名も伏せられていたためです。
女子高生の自殺をごく短い文章で報じられた程度でした。
ところが、この短い文章にある「人権活動家」が目をつけ、多数の学校に電話をかけスヨンさんの学校を見つけ出し、問題を追及します。
このことがあってから、コールセンターではスヨンさんが亡くなってから5ヶ月後に「過度なストレスを受けないよう、心理カウンセリングの対策を講じるなど職場環境を改善する」と発表しました。
あしたの少女のその後は?

出典元:https://joji.uplink.co.jp/
映画『あしたの少女』は韓国で2023年2月に公開されましたが、スヨンさんの事件を知っている韓国人はごくわずかのようです。
映画の公開で初めてスヨンさんの事件を知った人も多かったといいます。
この映画の公開で、監督と観客が対話しこの事件について考える輪を広めました。
そして2023年3月職場系高校の現場実習については、「職業教育訓練促進法」といって「勤労基準法」の準用を拡大する内容の改正案が、国会本会議を通過しました。
これにより、現場実習生の権利が侵害されないように業者側の責務を強化する内容になっています。
その後、映画の影響を受けて現場実習生の保護を求める世論が広まりました。
改正案はその後、通称「次のソヒ防止法」と呼ばれ、「あしたの少女」の原題は「次のソヒ」です。
今回の映画『あしたの少女』は、命の軽視される問題を根本から追求していく姿勢を強く呼びかけることによって、形となって表れた結果でしょう。
ネタバレで結末まで調べてみた!
今回の映画『あしたの少女』は、2部構成になっています。
その第1部は物語のベースになった高校生のソヒの事件を忠実に再現。
後半の第2部は刑事・ユジンが登場し事件を追及していく構成です。
この映画のストーリーはどのようになっているのか、次の章ではネタバレであらすじを公開しましょう。
あしたの少女のネタバレあらすじ公開
そもそも映画『あしたの少女』とは、どのようなあらすじなのか大まかに紹介します。
高校生のソヒは、担任教師から大手通信会社の下請けのコールセンターを紹介される。
しかし、この職場は従業員同士の競争をあおり、契約書で定められた成果給もきちんと支払われていない。
そんな中、それまでソヒの指導役をしていた若い男性が自死し、ソヒはあまりのショックで神経をすり減らしていく。
ある真冬の貯水池で、ソヒは変わり果てた姿で発見された。
この事件で刑事ユジンは、ソヒを死に追いやった会社の労働環境を調べ始める。
根本から事件を追及していき、徐々に事件の真相が浮き彫りになっていく。
事件を根本から追求する刑事というのは、どうやら物語の中だけのようで現実にはなかなか存在しないようです。
実際、映画の中の刑事ユジンでさえ、警察署内では事件を根本から追求しようとすることで煙たがられています。
この煙たがる刑事は現実にもたくさんいるのでしょう。
あしたの少女の結末が衝撃的?
映画『あしたの少女』の結末はどのように展開されているのか、早く知りたいファンも多いのではないでしょうか。
とはいえ、実際映画公開の前なので、そう映画のラストが丸見え状態になることはあまりないでしょう。
しかし、映画の結末がある意味、衝撃的な結果になっているのかなと感じられる口コミを見つけました。
中盤からユジン(ペ・ドゥナ)の活躍になるが、前作とは関係なし。大企業が巨悪過ぎてたくさんの証拠すらなんの役にも立たない。警察の無力さを思い知る。「虚しさ」という大きな傷をきちんと残すが、ラストはこのキャラに合わない演出の気がする。(引用元:https://filmarks.com/)
「大企業が巨悪」「虚しさをきちんと残す」というところで、決して結末がハッピーエンドにならないことはお分かりいただけるでしょう。
これだけで判断するワケではないですが、人1人の命が亡くなっているのでハッピーになり得ないことは納得できます。
人1人じゃないですよね。ソヒの前に上司も自死している訳ですし、これ以外でも多くの人が業務が絡んだ死を遂げている現実があるのです。
映画の結末がどうなるかの視点でいうと、「かなり重い」終わり方になるのではないでしょうか。
そうでないと法の改正案が通るはずもありません。
「命は決して軽視してはいけない」「命の重さ」をチョン・ジュリ監督は訴えている、そんな結末になっていることでしょう。
あしたの少女のまとめ
今回は、映画『あしたの少女』についてこの映画は実話に基づいて描かれた作品です。
ネタバレ承知であらすじも紹介しました。
一番興味深いのは、なんといっても映画の結末です。
なんならその後の展開も知りたいくらいの関心度は十二分にある作品であると思います。
映画『あしたの少女』は実話を忠実に再現した映画で、ネタバレでも決して悔しくないむしろもっと見たくなったと思っていただけると、作品の結末やその後もある意味観る価値を見出せるのではないでしょうか。
本公開は、2023年8月25日(金)です。