Winny映画に原作ある?わかりやすく事件と教訓を解説します!

映画『Winny』が2023年3月10日に公開されることが決定しました。
この映画の原作はあるのか?というと、実際に2002年に起きた事件を題材に映画化されることになったのです。
「Winny(ウィニー)」というファイル共有ソフトの開発者「金子勇(かねこ いさむ)」さんが逮捕された事件でした。
今回は、映画『Winny』は原作はあるのか?この事件によって得た教訓などについてわかりやすく解説していきます。
この事件は、著作権が問われたことで当時大きく報道された事件でした。
事件から10年以上経った現在までに、この事件から得た教訓はあったのか?も非常に興味深いところです。
この事件を知らない人も多く、「この映画の原作は?」と興味を持つ人もいます。
そんな方たちのために、この事件がどのような事件だったのか?をわかりやすく解説していきますね。
Contents
映画『Winny』に原作はある?
冒頭でも触れましたが、2002年に起きたファイル共有ソフトの開発者・金子勇さんが著作権侵害に問われ逮捕されるという実在の事件です。
事件を知っている人もいますが、まったく知らなかったという人も多いですね。かくいう私も知りませんでした。(泣)
では、そんな私も含めてこの事件をよく知らない人のために、どのような事件だったのか?いろいろ調べてみましたので、一緒に見ていきましょう。
2002年に起きたファイル共有ソフトを使った「著作権侵害」事件だった
天才プログラマーと呼ばれた「金子勇(かねこ いさむ)」さんが開発した「Winny(ウィニー)」というファイル共有ソフトが著作権侵害にあたるとして逮捕された事件です。
実は、このソフトが開発される前にP2P型ファイル共有ソフト「Win MX」が学生たちの手によって作られました。
このソフトを使うと、世の中に既に出ているDVD・漫画本・アイドルなどのミュージックビデオなどがネット上で自由に入手できるというもので、のちにこれが著作憲法の「送信可能化権」の侵害にあたるとして、学生2人が逮捕され、その後も学生の逮捕が相次いだのです。
金子勇さんが開発した「Winny」は、「Win MX」よりも匿名性の高いソフトを作り上げました。
これは、金子勇さんが電子掲示板などで匿名のユーザーとして書き込みをし、他ユーザーとやり取りしながらWinnyの開発を進め、そしてついに2002年5月にベータ版が公開されたのです。
ところが、このことで警察が金子さんの行為は「著作権侵害行為幇助(ちょさくけんしんがいこういほうじょ)」をしたとして金子さんの逮捕にいたりました。
匿名性が高いということは、ようするに自分を特定しづらい状態であるために無断で個人情報や他社ソフトのダウンロードなど、悪用しやすい環境を作ってしまったという見方もできますね。
そのために、「こんなものを作った人間が悪い」と白羽の矢が立ったのが金子さんだったのです。
確かに、そんなものを造れば悪用される可能性は十分に想像できますね。
そのことから警察は、悪用を助長するような行為になっていると判断し、「著作権侵害行為幇助」などという罪名で摘発したという訳です。
ファイル共有ソフト「Winny」の開発者の逮捕と無罪確定・そして死
金子勇さんは、「著作権侵害行為幇助」で逮捕される直前までWinnyの開発を継続していました。
しかしおかしいのは、このソフトを悪用した人間ではなく開発技術者の金子さんが逮捕されたということではないでしょうか。
もちろん不正利用した人ものちに逮捕されていますが、なぜ金子さんまで?という点が疑問です。
その後7年もの歳月を経て、やっと金子さんに無罪が確定し晴れて自由の身になったものの、無罪を勝ち取っても金子さんはもうWinnyの開発に戻ることはありませんでした。
2013年7月6日、金子勇さんは「急性心筋梗塞」により42歳という若さで亡くなるのです。
『Winny』を映画にした背景とは
私はこの事件を知らなかったですが、ここまでの情報を得たとき「何かがおかしい」という違和感がありました。
何がおかしいか?その部分を次項で解説します。
既に存在する市販コンテンツを使ったことで著作権が問われた
先の章でも少し触れましたが、このファイル共有ソフト「Winny」を不正なやり取りに使用した人間ではなく、開発した側の金子勇さんがなぜ逮捕に至ったのか?
それがどうしても引っ掛かったのです。既に存在する市販コンテンツを使ったから?それが著作権に引っ掛かるから?
しかし、金子さんはそういうものをWinnyを使ってネット上で入手できるソフトを作っただけですよね?
そこに悪意があったかというと、悪意があれば先に出ていた「Win MX」のように、作ったソフトを使って既存コンテンツを入手していたでしょう。
しかし、金子勇さんはそうさせないように違法なデータのアップロードなどのような不正が起きた場合に備え、問題データを削除する機能をWinnyに搭載しようとしていたのです。
金子さんは至って技術開発にいそしんでいただけでした。
ところが、不正利用者の逮捕が続出したために開発者にも問題があると重く見た警察が逮捕に踏み切ったということでしょう。
そのせいで、不正データを削除する機能を搭載することもできないまま京都府警に拘留されたのです。
つまり改善策があったにも関わらず、みすみす警察の手でそれを遮った形になったのではないでしょうか?
この辺りも訴えたいという、金子さんと交流のあった関係者によって映画化の話が出たようです。
発展途上だったWinnyの芽を摘んだ警察
難しいことはよくわからないですが、何か警察側の「分からない所は飛ばして、分かる部分だけで事を進めた」感が、私は否めませんでした。
つまり、共有ソフトとかP2P(pair2pair・端末同士のネットワーク)とか、警察側はその部分を飛ばして、「とにかく、悪用されることくらい分かりそうなもんを造り続けたのは罪だ」という結論付けで逮捕に至ったような感じがしたのです。
そのあたりを映画がどのように表現しているのかは、興味深いところでしょう。
警察側ももう少し、逮捕前に金子さんときちんと話し合うことはできなかったのでしょうか?
「どういう意図でこれを作り、これからどういう風にしていくのか」など、その上で犯罪に加担していたか否かの判断をしてからでも遅くはなかったのではと感じます。
そういった具体的な話し合いをしなかったのかが強く心に引っ掛かりました。
そういう話し合いがなされていなかったのだとしたら、とても悔しい気がします。
実際の映画では、もしかしたらその辺の話し合いをしているような場面があるかも知れませんが、この点も注意して観たいものですね。
金子さんは戦うつもりはなかった?
金子勇さんにとっては、なんとも理不尽な結果だったのではと感じますが、どうやら当初金子さん自身は、裁判で戦う意向はなかったといいます。
それは、関係者の話で明らかです。
「金子さん自身は争いごとが大嫌い。そのまま罰金刑を受け入れてもいい、と思っていた。でもきっと、後に続く人たちが困る。それで闘う決意をしたんです」
引用元:https://wired.jp/2018/11/10/winny-isamu-kaneko-1/
金子勇さんは、とても性格の良い人だったようですね。
金子さんの盟友だった明石昌也さんが、金子さんの性格をこう分析しています。
- 私利私欲にほだされない
- ものごとに動じない
- 他人の悪意に無頓着
- 細かいことはあまり気にしない
- 子供のようにプログラミングに熱中した男
3番目の「他人の悪意に無頓着」というところがなんとも皮肉な結果になっているような感じで切ないです。
映画『Winny』事件から学ぶ教訓
金子勇さんは、本当に純粋にソフト作りを楽しんでいたと思われます。
そこに悪意のヒトかけらもない、本当に純真無垢ともいえる彼の技術がバッサリ閉ざされたのは本当に残念で、悔しい想いだろうなと思わずにいられません。
そんな「Winny事件」で得られた教訓は何か?を紐解いてみましょう。
出る杭は打たれない
この言葉は、IT系ヴェンチャー企業である「スマートキャンプ」の代表取締役の古橋智史さんの語った言葉で、「出る杭は打たれない、そういう国にしたいと本気で考えている」と雑誌のインタビューで答えています。
金子勇さんが開発したWinnyは、P2P技術が使われていました。
そしてそれは、ビットコインなどの仮想通貨の技術に生かされているといいます。
金子勇さんが亡きあとも、彼の遺した功績が今も息づいているのですね。
前出の金子勇さんの盟友・明石昌也さんとタッグを組み、さらに進化を遂げようとしています。
研究は「守られるもの」技術は「改良し続けるべきもの」
こちらの言葉も前出の古橋氏が語った言葉です。
金子勇さんは、Winnyの開発をするにあたり一般ユーザーの意見を募って改良を重ねてきました。
2ちゃんねるの掲示板で、金子勇さんは匿名で書き込みをし、そこで一般ユーザーとやり取りをしていたのです。
その結果、2002年5月にベータ版が公開。
公開後も逮捕されるまでの間も、開発を続けていました。
技術者とはこういうものなのだろうと思いますね。
一つ作っただけでは絶対に満足しない。
「もう少しここをいじったらどうなるか?」「こうなるのはなぜだろう?」「こうしてみようか?」と常に思考錯誤して作り上げていたでしょう。
それが2ちゃんねるでのやり取りだったと思います。
どの道のプロも、プロとはこういうものなのですよね。
警察はこうしたプロの手を止めてしまったのです。著作権がどうのという問題ではありません。
そういう意味でも、今回の映画化は意味のあるものになりますね。
映画『Winny』のまとめ
今回は、映画『Winny』について、この映画には原作はあるのか?実在の事件だったのか?をわかりやすく解説してきました。
実在した事件なので原作は基本ありませんが、この事件を題材にして映画化されたというのが、適した表現でしょうね。
この事件を知らなかった方も、この記事で何か教訓になったことがありましたでしょうか。
今回は映画『Winny』について、わかりやすく紹介しました。そしてこの事件を教訓として、今後このようなことが起こらないことを祈るばかりです。