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ルックバック京本の名前の意味は?最後の4コマについても解説

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『このマンガがすごい‼2021』にも選ばれた【ルックバック】が、劇場アニメとなって2024年6月28日に公開されます。

4コマ漫画が意味ある存在として冒頭から登場し、物語の途中で主人公・藤野の相棒、京本というキャラクターが死亡するという衝撃的な展開により、最後の4コマの持つ意味が色々と考察されている【ルックバック】。

死亡した京本の名前にも様々な憶測が寄せられており、作中に散りばめられた伏線の数々から【ルックバック】は考察系マンガと言われているようです。

この記事では、漫画【ルックバック】における死亡した京本の名前が意味するところと、最後の4コマ漫画について調べてみました。

 

作者・藤本タツキ氏の想いが込められたキャラクター達の名前

【ルックバック】は自信家の『藤野』と引きこもりの『京本』という二人の少女の出会いから物語が始まります。考察系漫画といわれる通り、キャラクターの名前1つとっても意味が込められている、と噂される作者・藤本タツキ先生による仕掛けとは…。

 

【ルックバック】に込められた作者・藤本タツキの想いを紐解く

共作漫画で結果を残しながらも、プロとなった藤野に対し、京本は進学した美大で不審者により命を奪われてしまう【ルックバック】。引きこもっていた彼女を漫画製作という形で外の世界に連れ出したと、京本の死に責任を感じ悔やむ藤野によって展開が二分していくのですが、そのベースには2つの事件があるのでは?という噂をご存じでしょうか。

1つは2007年1月15日に起こった、学生が被害者となってしまった京都精華大学漫画学部の事件です。

漫画家死亡の男子学生が、何者かに刃物で十数か所刺されて亡くなってしまった未解決事件なのですが、【ルックバック】でも京本は不審者の刃物によって命を落としています。この部分が京都精華大学の事件を想起されているようです。

もう1つは、2020年7月18日に起こった京都アニメーション放火事件。自分の作品を盗作されたと思い込んだ容疑者が、京都アニメーションに火をつけたという凶悪事件です。

漫画【ルックバック】が公開されたのが京アニ事件のほぼ1年後の2021年7月19日であること、公開当初の容疑者のセリフに『パクる(盗作)』という言葉があった事などから、藤本先生は京アニ事件への追悼の気持ちを【ルックバック】に込めたのでは?と言われています。

やまこ
やまこ
映画化に際し『自分の中の消化できなかったものを無理やり消化させようとした』とコメントを寄せられた藤本先生。やるせない気持ちが伝わってくるね。

 

自身を投影させた『藤野』と憧れを表現した『京本』という名前

藤野と京本、2人の名字を組み合わせたペンネーム『藤本キョウ』ですが、実はこの『藤本』という苗字は『藤本タツキ』という作者自身の名字でもあります。つまり、藤野と京本には藤本先生の想いが強く反映されていると考えられるのではないでしょうか?

そういった考えから、京本に出会った事で夢を明確化出来た藤野には自分自身を、圧倒的な技術で藤野を自信喪失させながらも更なる上達を目指す京本には京都アニメーションを重ねているのでは?と言われています。

やまこ
やまこ
【ルックバック】から感じられる『京アニ事件』への藤本先生の想いからしても、先生自身にとっても京都アニメーションは大きな存在だったんだろうな。

 

最後の4コマ漫画が示す【ルックバック】の意味とは?

【ルックバック】は、藤野が描いた学年新聞の4コマ漫画が起点となって話が進みます。では、1番最後の4コマに込められた思いとは一体何なのでしょうか?

 

【ルックバック】における4コマ漫画の存在意義について

【ルックバック】ではいくつかの4コマ漫画が登場しますが、それぞれが伏線となっているのでは?という点でも考察されています。では卒業証書を届けに行った藤野が、京本の部屋の前で拾った白紙の4コマ枠に書いた漫画は一体何を意味しているのでしょうか?

引きこもり大会』というタイトルのそれは、1コマ目に『出てこないで!』と叫ぶ人々、2コマ目には『出てこい!』と叫ぶ人々、3コマ目でここが引きこもり大会の会場だという事が明かされ、オチである4コマ目は引きこもったまま絶命した白骨死体があり、そこには矢印で『京本』と書かれているものでした。

この4コマが藤野の手から滑り落ち、閉じた扉の隙間から入り込んだことで物語が動き出すのですが、これが【ルックバック】最後の4コマへと繋がる大きな布石となっていくのです。

 

最後の4コマ漫画のタイトル『背中を見て』が物語っている事とは?

彼女の死は自分のせいなのではと思い悩み京本の実家を訪ねた藤野は、かつて自分が描いた『引きこもり大会』の4コマ漫画を拾います。

何故こんなものを描いてしまったのかとビリビリに破り捨て、京本の部屋にも入れず号泣する藤野。ここから物語は藤野の想像する『藤野に出会わなかった京本』の世界線に突入します。

藤野が破り捨てた1コマ目が滑り込んだ京本の部屋には、小学生の京本がいました。『出てこないで!』と叫ぶ人達が描かれた1コマだけを拾った彼女は、現実世界と変わらず美術大学に進学しあの不審者に出会います。

しかしそこに藤野がやってきて空手キックで京本を救い、現実とは違う京本が生きている世界が広がるのです。藤野との再会を果たした京本が描いた4コマ、これが【ルックバック】における最後の4コマ漫画となります。

背中を見て』というタイトルのこの4コマは、空手キックで助けられた自分と格好良く立ち去る藤野を描いたもので、颯爽と去る藤野の背中には不審者の刃物が刺さっている、というオチでした。

この『背中を見て』が、再び部屋の扉の隙間をすり抜けて現実世界の藤野に届いたことで、彼女は京本の部屋へと足を踏み入れます。部屋の壁には、背中に藤野が書いたサインを背負う半纏が…。『藤野歩』とフルネームで力強く書かれたそれは、まるで藤野に前を見て歩んで行けと示しているようです。

やまこ
やまこ
藤本先生は作中に、コマを繋ぎ合わせると『Don’t  Look Back in Anger』(怒りに任せて過去を振り返らないで)という、イギリスのロックバンド・OASISの曲名を忍ばせているよ。タイトルの【ルックバック】ともリンクする『背中を見て』と半纏の『背中』には、藤本先生の強い思いが込められているように感じるね。 

 

まとめ

今回は【ルックバック】について、死亡してしまう京本の名前に込められた想いと、最後の4コマについて調べてみました。

漫画家を始めクリエイターたちの多くに重大な衝撃を与えた『京都アニメーション放火事件』。

この事件を始め理不尽な暴力に対する憤りや乗り越えようとする力が感じられる【ルックバック】からは、最後の4コマに込めた藤本先生が消化したいともがくような思いを強く感じますね。

京本の名前には藤本先生による京都アニメーションへの想いが込められているのではないか?と考えられていますが、それは死亡した京本が再び藤野の背を押すように、事件の3年後には本格復活に向け動き始めた京都アニメーションから先生自身も力を貰っているという事なのかもしれませんね。

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