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敵(映画)のネタバレ正体は?筒井康隆の原作の結末と映画のラストは同じなの?

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映画【敵】が、2025年1月17日に公開されます。

原作は筒井康隆さんの同名小説ですが、タイトルの『敵』とは一体何を指し、またその正体とはなんなのでしょうか?

筒井康隆さんといえば、小松左京さん・星新一さんらと共に日本三大SF作家の1人として知られ、現実の中に非現実を混ぜ込んだようなシュールで奇想天外な作風が特徴の作家さんですが、このタイトルが示す『敵』の正体や結末も一風変わったラストを迎えるのか…映画の結末も原作と同じなのかも含め、ネタバレが気になりますね。

映画【敵】は、東京国際映画祭でグランプリを受賞している秀作です。そこでこの記事では、映画【敵】の正体やラストの結末についてネタバレを調べ、まとめてみました。

りと
りと
SF作品は前情報があった方が理解しやすいものもありますので、是非この記事が鑑賞の助けになれば嬉しいです。

 

筒井康隆が書く『敵』の正体と結末とは?

やまこ
やまこ
原作の『敵』には、主人公の渡辺儀助のほか、妻で故人の渡辺信子、儀助のかつての教え子・鷹司靖子などが出てきますが、物語の構成は儀助の書く日記のような形で綴られています。

儀助の丁寧な暮らしを覗き見するような、そんな内容から徐々に現実とその境を見失っていく展開に、読者の多くはそれぞれの解釈を見つけていく、そんな小説です。

 

筒井康隆が書く『敵』のあらすじとは?

見合いで結婚した妻・信子が50代の若さで亡くなった後、75歳の元大学教授・渡辺儀助は自分なりの楽しみを見つけながら1人で暮らしていました。炊事洗濯など、家事にも不便の無い儀助は、貯金残高を見ながら自分の最期の瞬間に思いを馳せています。

退職直後には3,000万円あった貯金も、信子の闘病や葬儀代金が思いの外かかってしまった事により、2,000万円台まで減ってしまいました。目減りしていく貯蓄を目の当たりにしながらも、切り詰めた質素な生活を送るつもりのない儀助は、自らの葬儀費用を残す残高になれば命を絶つつもりでいます。

そんな儀助の楽しみは、年に2~3回手土産片手に訪れるかつての教え子・鷹司靖子と過ごす時間です。

大学生時代は儀助の講義を一番前の席に座って熱心に取り組んでいた靖子は、卒業後、芸能一般を担当する記者として働き、彼に執筆の依頼をする為に交流が続いていたのでした。その後退職した靖子は、父親の画廊の経営を任され鎌倉に住んでいますが、今も年に2~3回程度、儀助の自宅を訪れるのです。

儀助にとって靖子はただの教え子の域を超え、彼女が離婚した時に結婚を申し込まなかった事だけが彼の後悔となっています。たまに訪れる靖子には、今も『泊まっていきなさい』と言えない儀助。

そんな儀助の日課は、お気に入りのサイトにアクセスしてチェックすること。

ある日、いつものように『トキメキ遊歩道』を閲覧していると、そこには『北の方から敵が来る』という不可解な書き込みがありました。デマだろうと笑い飛ばしますが、何度もアクセスするうちに儀助はその書き込みに言い知れぬ不吉な予感を募らせてしまうのです。

それはついに儀助の日常にまで侵食し始めて、ある時は誰もいないはずの部屋から声が聞こえたり、亡くなった妻・信子が現れるようにもなってしまいました。

これは一体どういうことなのか?敵とは?またその正体は何なのか?

当初現実味は無いと思われた『敵』が徐々に儀助に迫り、彼の様子が変わっていくその先はどうなるのか…これは儀助の日常が徐々に変異していく様を描いた物語です。

りと
りと
原作小説『敵』では、儀助の日常が

  • 友人/病気/親族/性欲/昼寝/信子/珍客/大学/映画/神/侵略

など43の短編として綴られているため、 まるで儀助の日記を読んでいるような感覚に陥る読者が多いようです。

 

『敵』の正体は?その結末にネタバレで迫る

儀助の穏やかな日常を追っていたつもりが、いつの間にか敵に迫られ摩訶不思議な展開に進んでいく筒井康隆さんの『敵』ですが、ではこの『敵』の正体は一体何なのでしょうか?

『敵』の正体については、作中で明言された固有名詞はありません

やまこ
やまこ
え!じゃあ、最後まで読んでも敵の正体は分かんないって事なの?
りと
りと
その通り!具体的な呼称で敵を呼ぶ事は無いのです。

つまり、『敵』の正体は不明であり、読み手の解釈に任されているともいえるでしょう。

そこで、原作小説『敵』を読んだ方の感想から、その正体をどんな風に解釈しているのかを調べてみました。

1:敵の正体は『認知症』なのではないか?

読者の中には、敵の正体を『認知症』として捉えている方が多かった印象です。

特に後半になると、儀助の記憶違いや認識違いが増えてきたように感じるため、彼が『認知症』を発症しているのではないか、と考えられていました。何とも言えない独特の感覚に襲われ、最後まで読み進める事に恐怖心を抱く方もいたようです。

2:敵の正体は『夢・妄想』なのではないか?

1人暮らしの儀助の生活は、たまの康子の来訪を除けば、基本的にルーティーンを組んでいるように同じことの繰り返しです。

それゆえに、年齢を重ねた儀助が、夢現となったその瞬間にこそ、理解できない不可解な事が起きているのではないか、という解釈をされる方もいます。

それが、実際に起きた事を元にした妄想や夢に支配されていきますので、読み進めた先の伏線回収もかなり面白かった、との声もありました。

3:敵の正体は『死』なのではないか?

最後は、敵は『死』を意味しており、後半の辻褄が合わなくなっていく様は死後の世界なのではないか?との見立てです。

死後の世界を具体的、かつ論理的に説明するのは容易ではありません。その為、儀助の言動のおかしさは、生きている人間の認知から外れた『死後』をあらわしているのではないか、というのです。

りと
りと
このように、儀助の言う『敵』については読み手の解釈により、少しづつ感じ方が変わっています。

老後を生きる儀助の日常が徐々にひび割れていく様を、『敵』という形で示した著者の筒井康隆さんの術中にはまっていくのが面白い、とも言われているようですね。

やまこ
やまこ
原作では明確に示されていない『敵』を、映画がどんなな作り方で見せてくれるのか気になるわね!

 

映画【敵】のラストを大予想

やまこ
やまこ
儀助役が大ベテランの長塚京三さんだなんて!もうそれだけでも一見の価値ありだわ。

 

映画【敵】のキャストとそのコメントまとめ

映画【儀助】を監督されたのは、【霧島、部活辞めるってよ】や【紙の月】などの原作小説を映画化して様々な賞を受賞されているの実力派の吉田大八監督です。

吉田監督は【霧島~】や【紙の月】など、手掛けた作品の脚本も多く担当されており、また若い頃から筒井康隆作品に触れてこられたんだそうで、この『敵』に関しては原作を読み終えたときから

『敵とは何なのか?』

という事が頭を離れず、何十年もの月日が経って、こうして映画を作られることになったんだそうです。

この先、これ以上の作品はもう作れないと思う、そんな風に確信できるほどの出来栄えとなった【敵】に、原作者の筒井康隆さんも

『どこを取っても映像化し辛いだろうこの作品を、余すことなく映像化して貰えた。モノクロで作ってくれたことが本当に嬉しい。』

とお話しされています。

では原作者と、そのファンでもある監督によって作られた【敵】を彩るキャスト陣を見て見ましょう。

主人公の儀助を演じられるのは、長塚京三さんです。『ナースのお仕事』のようなコメディ作品から『長い長い殺人』のようなサスペンスまでジャンル広く演じられる俳優さんで、1994年と1999年の舞台『オレアナ』では、読売演劇賞優秀賞受賞も受賞されています。

やまこ
やまこ
長塚さんは、早稲田大学卒業後パリのソルボンヌ大学に入学してるし、そこで作品にも参加されてるからフランス語も堪能なのよね。

そんな長塚さんが、元大学教授の儀助を演じるだなんて、配役がピッタリだわ!

この儀助を演じられた感想として長塚さんは

『原作と脚本を読んで感じたのは、儀助が監督そのものだという事。

ご自分でおやりになればよいのに、そう感じるほど儀助は監督でしかなかったが、監督はまだお若く絶望を感じても、まだやり直しのきく年齢だと思い、最後から二番目くらいの映画としてお受けしました。

老いて混濁する記憶、助けお求めたくとも周囲のの人や物ですら敵側に回っているように感じる儀助を、彼自身の性格を含め考え見てみても面白そうだな、と。』

などとお話しされています。

そんな儀助が恋心を抱く元教え子・鷹司靖子には、瀧内公美さんが配役されました。

瀧内さんは『恋する母たち』や『大奥』など、ドラマ好きなら必ず見た事があるだろう名バイプレイヤーとして有名かもしれませんが、主演として何本もの映画にも主演されている、実力のある女優さんです。

やまこ
やまこ
どことなく婀娜っぽい雰囲気を持つ瀧内さんが、かつての先生である儀助との関係をどう変化させるのか気になるね。

『念願の吉田大八組でのお仕事は、靖子をどう表現すれば良いか試行錯誤する私にほっこりとした居心地の良さをくれる現場でした。

長塚京三さんとの共演に心が震え、言葉に出来ないほどの魅力に、クランクアップの前日は涙が出来るほど淋しかったです。

とても不思議だけれど面白い作品となった【敵】を、多くの方にご覧頂きたいです。』

とお話しされていますので、靖子が儀助に持つ感情と、涙が出るほど長塚さんに魅了された瀧内さんの気持ちがどこかシンクロしているのか、そんなことを考えながら観るのも楽しそうですね。

その他、儀助の妻・信子役には黒沢あすかさん、儀助行きつけのバーにいるマスターの姪・菅井歩美役には河合優実さんがキャスティングされています。

お二人とも、儀助を取り囲む女性の一人として様々な魅力を振りまいてくれるのでしょう。

吉田大八監督の思いが詰まった映画【敵】は、世間ずれしていない儀助の品格とノスタルジーが上手く融合し、全編モノクロという潔さによって逆に画面が彩られているようにも感じられそうですね。

 

映画【敵】を観た観客の感想からその正体とラストを予想してみる

最後に、東京国際映画祭にて【敵】をいち早くご覧になった方々の感想から、『敵』の正体とラストについて予想してみましょう。

女性
女性
吉田監督作品は本当に面白い!

主人公の主観に寄り添いながらも、どこかシュールで根が好き者の儀助を俯瞰で観ているような面白みと、怖さを感じました。

国が、老後必要資金は2000万必要だ、と言いだすようなこの時代に、残高を見ながら暮らしていく老いの道はある種の怖さと隣り合わせのように感じ、それが儀助に『敵』を作り出させたのかな、と思いました。

男性
男性
意外なくらい『クスっ』と笑えるシーンが多く楽しめた。

儀助が感じている『敵』とは、死に向かいゆく自分なのかなと思う。事故死・病死・突然死、予見できない死はいつ襲ってくるのか分からないのに、歳を重ねていくことは死に近づいている事でもあるわけで…。

『敵は北からやってくる』

との言葉に、北枕を思い浮かべたのはぼくだけなのだろうか。

女性
女性
ホラー映画なのかと思ていたけれど、全く違っていて、1人の男性の終末期を見せて貰ったような気がしました。

『残高に見合わない長生きは地獄だ』

と、老いと死を覚悟していたはずの儀助が、幻想と現実を行き来するようになって逆に生きる為に格闘しているのが妙に滑稽にも感じたが、しかしそれこそが人間の本質だね、とも思います。

『敵』は自分の内面に潜んでいると解釈したけど、これは観た人によって解釈が別れそう。

など様々な意見があり、『敵』の正体については原作と同じように、観た人それぞれによって解釈が違っていましたね。

映画【敵】のラストでは、儀助の死が映し出されるのですが、これも老衰なのか自死なのか判別がつけにくいようです。観た人によっては自死ではないと感じながらも、監督は自死として描いたのではないか、と見る人もいました。

『ただ生きる為だけに生きる事が耐えられない。』

という儀助の言葉に、深く感銘を受けられた方もいれば、反対にその言葉の意味を掴みきれずこの先の人生で分かるのかな、と感じている方もいます。

映画【敵】は、受け手それぞれに解釈が委ねられるようなおおらかな作品だと言えるのかもしれませんね。

まとめ

今回は、2025年1月17日に公開される映画【敵】について、『敵』の正体とラストの結末について調べ、ネタバレでまとめてみました。

筒井康隆さんの原作『敵』は刊行されたのも数十年前になりますが、それでも未だ多くの方の感情を揺さぶる名作として知られています。どこかシュールなSF作品といった様相の『敵』では、原作のなかで敵の正体が明かされているわけではありません。

読み手の解釈により『敵』も様々といった内容で、筒井康隆さんは老いと死がそう遠くない高齢男性の日常を読ませるような構成により、徐々に読者を主人公・儀助の世界へといざなっています。

映画【敵】のネタバレを調べてもその正体は明かされる事なくラストへと向かうため、こちらもまた見た人によって正体がそれぞれ違うようですね。

儀助の結末は彼の死となりますが、それが自死なのか老衰のような自然死なのかもはっきり示されているわけではありません。

『敵』の正体も、主人公の死の真相も解釈次第、というネタバレしていても十分に鑑賞者を楽しませてくれる映画【敵】は、各県によって上映館のスケールが異なります。

イオンシネマのような大手で上映される県もあれば、ミニシアターの県もあり、また上映の予定がないという県もありますので、ご覧になる際は近県まで含めて探してみては如何でしょうか?

ダンディで品があって素敵な長塚京三さんが演じる儀助は、ちょっとダサくてスケベ心も持っている人間らしさを備えています。是非、この作品の『敵』の正体をご自分の目で確かめてみて下さいね。

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