廃用身(小説)のネタバレ結末ラストは?実話なのかホラーなのかについても考察
何十年にもわたり問題視されながら、改善するどころか加速している日本の少子高齢化問題。
働き手となる現役世代は目減りす一方、徐々に身体の不自由を抱える高齢者は増え、更に日進月歩と言われる医学の発展により平均寿命が世界一を誇る日本の行く末は、いったいどんな未来なのでしょうか?
少子高齢化は、誰もが知っているのに直視を避けがちな問題ともいえるでしょう。
そんな問題に急角度から解決策の1つを示した小説『廃用身』が、映画となって2026年5月に公開されます。
『廃用身』という聞きなれない言葉…しかし、使われている漢字のせいでしょうか?
既に不穏な空気がビンビンと伝わってくるタイトルですよね。
あまりにも衝撃的な内容に、発売当時から
『これは実話なのか?途中で、ネタバレして欲しい!と思うくらいに不穏で恐ろしかった。』
『幽霊が出てくるような分かりやすいホラー作品じゃないのに怖くて仕方ない。』
などの感想が寄せられていたそうで、どんな結末を迎えたのかが気になります。
そこで今回は、小説『廃用身』が実話なのか、また創作ホラーなのかについて調べ、結末までネタバレでまとめてみました。
Contents
小説『廃用身』ってどんな話?実話なの?
#読了
「廃用身」
映画化されるときいて読んでみた
医療系?介護系小説はふだん読まないのですが、勉強になった
フィクションとノンフィクションの境目がわからなくなる
寝る前に読んで、起きてからもずっと考えてしまった
おもしろかった、映画行きたい pic.twitter.com/seKjhXIoXg— 逢季 (@hanagasaku31) February 2, 2026
小説『廃用身』のあらすじまとめ
とある町のデイケアクリニック『異人坂クリニック』院長の漆原糾(染谷将太)は、ある画期的な方法で老人介護の現場に変革をもたらします。
それは麻痺などによって動かなくなった身体の一部『廃用身』を切除する、という思い切った方法でした。
人間の倫理に触れる対処法ですが、患部の切除を受けた患者の表情は明るく、また介護者側の負担も軽減されるという事で、Aケアと呼ばれるようになった『廃用身部分の切除』という処置は10人以上の高齢者に施されます。
この画期的な治療の噂を聞き付けたのが、雑誌編集者の矢倉俊太郎(北村有起哉)です。
彼はこのAケアを老齢起医療の大きな革命ではないか、と考え漆原に本を執筆してみないか、と持ち掛けました。
ところが、トントン拍子に進んでいたAケアという画期的なアイディアは、『異人坂クリニック』内部からの告発が週刊誌に流出したことで、思ってもみなかった結末を迎えます。
理想の医療を追いかけた漆原が、やがてその道を踏み外していく姿…それは、医療、介護という倫理観と隣り合わせのひっ迫した現場を、リアリティたっぷりにこちら側へと投げかけてくるようです。
意味は同じく『麻痺等で動かない身体の一部』を指すようですが、『廃用身』はこの小説内で使われている造語ですね。
小説『廃用身』はホラー?実話なのか調べてみた
小説『廃用身』は、実話ではありません。
医師である原作者の久坂部羊さんのデビュー作で、2003年に発売されたフィクション小説です。
しかし小説『廃用身』は、主人公・漆原と編集者・矢倉の手記のような体裁で書き綴られているため、読者の多くが
と、ノンフィクション作品だと思い込んでしまったようです。
奥付けまで作り込まれているため、まるで本の中に本があるような作りになっており、今でいう『モキュメンタリー』のような構成がより一層読者を作品の世界に引きずり込んだのでしょう。
など、小説『廃用身』の圧倒的な存在感に感嘆の声を漏らす方、あまりのリアリティに恐怖を覚える方も多かったようで、その感想が作品をホラー小説のようにミスリードしたのかもしれません。
小説『廃用身』で言及されている介護における負担や問題点は、発刊された2003年当時どれくらい社会的な問題として捉えられていたのでしょうか?
かつては『家族で看るもの』とされていた介護は、2000年に介護保険制度が導入されたことで他者の手を借りられるようになりました。
家の中だけで完結させていた私的介護が、制度が作られたことで社会で支えるものへと変容したことで、家族が抱えていた介護における孤独感はある程度解消されたかもしれません。
また公的機関や医療が関わる事で、寝たきり状態で置かれていた要介護者も、自立支援や認知症ケアなど専門的な治療が施されるようになり、故人の尊厳や考えが尊重されるようにもなりました。
しかし、介護における問題点は他にも多種多様、様々なものがあります。
基本的に『人が人を介護する』以上、どうしても肉体的な負担が全くない状態には出来ないのです。
小説『廃用身』が今なおリアリティを持って支持されるのは、2003年当時すでにこの問題を解消しようという動きが描かれているからではないでしょうか。
少子高齢化が加速度的に増した2026年現在では、小説『廃用身』の物語がただの空想とは言い切れないような、そんな逼迫感すら漂っている気がします。
そのため、このひっ迫感を感じている方は特に
『これは、実際にあった事件なのでは?』
と思ってしまうのかもしれません。
小説『廃用身』の漆原が提唱したAケアは、倫理的にもこの日本で実装されることは難しいのではないか、と思いますが、2003年当時よりもずっと要介護者の人数が増え、働き手不足などの要因も重なる介護現場では、何かしらの画期的な解消策が待たれている事は間違いないでしょう。
小説『廃用身』が映画化されることに、原作者の久坂部羊さんは
と、医師としての現場で実際に『楽になれるなら切りたい』と言われたご自身の経験も添えて、コメントを寄せられています。
映像化不可能と言われた小説『廃用身』が映画化!ネタバレで結末予想
モキュメンタリーでいちばんの傑作は『廃用身』(小説の方)だと思う。倫理的に問題ありげなアイデアに「別にアリかもな」「やっぱダメだろ」と揺さぶりかける手段としてモキュメンタリーが適しすぎている。形式が目的化していない。映画化もするようで楽しみ
— ギョメムラ (@8823kame) February 15, 2026
モキュメンタリー映画…これは俄然気になる!!
小説『廃用身』の結末をネタバレまとめ
とある町のデイケア『異人坂クリニック』で、老人医療に関わる医師・漆原糾(染谷将太)が思いついたのは
『廃用身部分の切断』
という画期的な治療法でした。
動かなくなってしまった四肢などは大きな介護負担となっており、また患者側からも邪魔な部分として認識されている事が多いため、この治療法は双方にとって利点が大きいと考えたのです。
麻痺して動かないはずの部分でも、本人の意思とは関係なく緊張性のツッパリや勝手なよじれなどがあるそうで、こうした不随意運動もまた介護を困難にしているんだそうです。
この治療法は、当然患者の同意も必要です。
『廃用身』の切除手術に挑んだのは、岩上武一(六平直政)という両足と左腕の麻痺を抱えた患者でした。
岩上の麻痺部分は介護妨げとなるだけでなく、その重さから褥瘡が出来てしまい黒く壊死しつつある状態となっていたため、岩上本人も切除に前向きな様子。
こうして、漆原発案の『廃用身』切除手術が行われ、身体の一部を失う事になった岩上ですが、彼はその状況を嘆くのではなく、前向きに喜んで捉えます。
麻痺した身体によって沈んでいた気持ちも前向きに明るくなり、食事や排せつといった生きる上で最低限必要な『日常動作(ADL)』をも取り戻し始めました。
岩上の明るさはデイケア全体を照らす光のように伝播し、周囲の高齢者もまた『廃用身』の切除を希望し始めます。
10人を超える患者がこの処置を受け老人性のうつ症状が改善されるなど、漆原が想っていた以上のプラスの副作用まで発生させる『廃用身』の切除手術は、やがてAケアと呼ばれるようになりました。
漆原は、Aケアの効果を
『医学は科学であるが、医療はサービス業である』
とまとめ、介護の未来への可能性を見出しています。
そんな彼を訪ねてきたのは、Aケアを受けた女性患者が書いた手記を読んだ編集者・矢倉俊太郎(北村有起哉)です。
このままでは介護破綻が目に見えているという漆原の話に、高齢化が進む日本の介護医療革命を感じた矢倉は本の出版を持ちかけました。
ところが矢倉と漆原が本を出す前に、デイケア内部からの告発、という形でAケアが週刊誌にすっぱ抜かれてしまいます。
麻痺して動かなくなっているとはいえ『生きている人間の手足を切り取る』という行為は、やはり倫理的な嫌悪感を煽るもので、漆原は世間から強く批判されてしまうのです。
これこそが、小説『廃用身』のノンフィクション感を高めたと言えるでしょう。
ショッキングな見出しが躍る週刊誌により『異人坂クリニック』は追い込まれてしまいますが、しかしそれでも漆原は言い訳や釈明の口を開きません。彼はAケアに絶対の自信を持っていたのです。
とはいえ、世間を騒がすスキャンダルで、その渦中にいる人間がだんまりを決め込んでうまくいった試しはありません。
Aケアの切除手術を執刀した医師と共に、漆原はマスコミの標的にされてしまいます。
ネット上でも揶揄され、彼らの周りに味方はいない…そんな状況になっても、何も話そうとしない漆原でしたが、ここで事態が一転。
なんとAケアを受け、明るく生活も向上していた岩上が家族を殺める、という事件を起こしてしまったのです。
両足と左腕の麻痺という大変な状況だった頃の岩上は、介護虐待を受けていたようで…壊死してしまうほどに進んだ褥瘡もまた家族による虐待がきっかけ、という壮絶な過去の復讐を果たしたのです。
Aケアによって身体機能が回復、また脳の血量が増えて躁状態になった岩上の壮絶な復讐は、漆原の信念を揺るがせます。岩上の復讐がAケアによる回復を遠因としている事は間違いないからです。
そのうえ、他のAケア患者にも死が訪れてしまいました。
『本当はAケアなんて受けたくなかった』
と遺書を残し、車いすで首を吊ってしまったのです。
この死が、瀬戸際で踏ん張っていた漆原を追い詰めたのでしょう。
彼は矢倉にだけ気持ちを打ち明けると、
との言葉を残して列車に飛び込み、首を轢断。
介護業界を明るく照らすかに思われたAケアは、発案者の死を持って終わりを迎え、矢倉が漆原の手記に週刊誌騒動から彼の自死までを記して、『廃用身』が出版されたのでした。
『こんな事件があったんだ…』
と思ったのち、奥付や表紙の作者名でこれが創作であることに気付かれたようですね。
映画【廃用身】にリアリティを添えるキャスティング
主人公・漆原糾には、実力派若手俳優として数々の賞を受賞されている染谷将太さんがキャスティングされています。
少しとぼけたように見える重めの目元が印象的な俳優さんですが、彼の出る作品にハズレはない、と言わるほどの実力派。
そんな染谷さんは今作で主人公を演じられることについて
『曖昧なものとして様々な作品で描かれた正義と悪だが、こんな変わった切り口から見る作品はそうないのではないか?そんな作品の主人公を演じる事に恐さを感じた』
とお話されていました。
そんな染谷さんとタッグを組んで『廃用身』を完成させた編集者・矢倉俊太郎は、こちらも沢山の作品で渋い存在感を示し画面をピリッと締めるベテラン俳優・北村有起哉さんが演じられます。
北村さんもまた、今作の脚本を呼んだ時ノンフィクション作品だと思われたんだそうで
『誰にでも降りかかってくる永遠のテーマ。倫理観を揺さぶる作品ゆえ、賛否が激しく揺れる事を期待している』
とコメントを寄せられていました。
その他、物語のキーマンとなる岩上武一には強面笑顔が印象的な六平直政さん、漆原の妻・菊子を少し陰のある美貌が特徴的な瀧内公美さんが演じられます。
スキルや経験値の高い俳優陣をまとめる監督には、映画【家族X】や【三つの光】で国際的な評価も高い吉田光希さん。
学生時代に『廃用身』を読んだ吉田監督が、20年かけて温めてきた企画を形にし、『絶対映像化不可』とまで言われた今作にチャレンジます。
現役のお医者さんである原作者・日下部羊さんの描写力を、吉田監督がどう映像化させるか…介護問題という、ほぼすべての人に重く伸し掛かる現実をどんな風に作品へと昇華させたのか、公開が待たれますね。
まとめ
久坂部羊の同名小説を衝撃の映画化『廃用身』、5月公開決定。
染谷将太演じるデイケアの院長は、まひなどにより回復する見込みがない手足を切断する治療法を開発する。当初は画期的な治療法と思われていたが…pic.twitter.com/Ifm2sPaz5f— 末廣末蔵 (@oHLeiqANE8fT9Ck) January 28, 2026
今回は小説『廃用身』について、実話、もしくは創作ホラーなのかを調べ、結末までネタバレでまとめてみました。
小説『廃用身』は実話ではありません。
また、ホラー作品でもないです。
『廃用身』は、介護問題に真っ向から切り込んだフィクション小説となっています。
約20年前に刊行された『廃用身』ですが、当時からすでに介護業界の崩壊を視野に入れた作品となっており、麻痺などの機能しなくなった体の部位を切除する、という描写に恐ろしさはあるものの、ホラーというよりは限りなくリアルに近い創作、といって良いでしょう。
それもそのはず。著者は現役医師の久坂部羊さんです。
医者として日々現場に従事する久坂部さんだからこその経験を落とし込んだ『廃用身』は、作品のテイストが主人公の手記、という形を取っていることもあり、読者の多くが現実と虚構の間で揺れ動かされたようですね。
『廃用身』という麻痺した四肢を切除して、介護の負担を軽減してみたら患者本人の身体パフォーマンスも上がった!という導入から、週刊誌による強烈な煽り、そして患者たちの死など、結末への落差がえぐい本作。
ラストまでネタバレしていても、きっと何かが残る作品なのではないかと思います。
映画【廃用身】の公開は2026年5月を予定されています。
車いすに乗り、明るい笑顔で輪になって遊ぶ高齢者は皆四肢欠損している、という予告だけでもかなりショッキングな映像ですが、しかしこれは目を背けてはいけない社会問題だとも思います。
ご覧になった方それぞれの倫理観や思想により解釈の違いが出るだろう映画【廃用身】を観て、今一度、現状をじっくり考える一助にしてみては如何でしょうか?






