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本心(映画)をネタバレで結末ラストを解説!原作との違いや考察についても紹介

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『ある男』『マチネの終わりに』など、次々と著作が映像化されている人気作家・平野啓一郎さんの『本心』が、2024年11月8日に映画公開となります。

近未来を舞台にした『本心』は、昨今進展し続けているテクノロジーが活用されている世界を描いた物語ですが、映画【本心】は原作に忠実な作りとなっているのでしょうか?

監督を務めるのは、映画【舟を編む】で第37回日本アカデミー賞最優秀作品賞や最優秀監督など、計6部門を獲得した石井裕也さん。【舟を編む】も原作小説がある映画作品でしたが、結末やラストは概ね原作に忠実に仕上げられていたように思います。

では【本心】はどうなっているのか…?テクノロジーが日常的に入り込んでいる近未来作品の結末やラストは、これからを生きる私たちにとって色々な意味でネタバレが気になりますね。

そこで今回の記事では、映画【本心】について原作からネタバレを拾いながら、結末ラストまで調べてみました。

 

映画【本心】のキャラクターとあらすじまとめ

りと
りと
チャットGPTが話題になっていたのも最近の事だけど、テクノロジーの進化を考えれば【本心】のような未来もそう遠くないのかもしれませんね。

 

映画【本心】のキャラクター

映画【本心】は主人公とその母親を中心に物語が進みますが、そこに多彩なキャラクターが絡み合って展開していきます。どういったキャラクターがいるのか、キャラクター同士の関係性についてもまとめて見ておきましょう。

*石川朔也…池松壮亮

  • リアルアバターとして働く時代に置いてけぼりにされた青年。
  • 自由死を選んだ母の本心が知りたくてV.F技術を利用して、仮想空間に母を蘇らせる。

*石川秋子…田中裕子

  • 自由死を選んだ昨夜の母。V.Fとして蘇る。

*三好彩花…三吉彩花

  • 朔也の母・秋子が最後に働いた職場の同僚で、親しくしていた友人。
  • 過去のトラウマから人に触れない。

*野崎将也…妻夫木聡

  • V.F開発の技術者。朔也の依頼を受ける。

*中尾  …綾野剛

  • 野崎が生み出したV.Fとして、朔也にV.Fの『こころ』について語る。

*イフィー…仲野太賀

  • 世界的なアバターデザイナーとして活躍する車イスの男。
  • ある出来事をきっかけに朔也と三好に興味持ち接触をはかる。

*岸谷  …水上恒司

  • 世話焼き体質の朔也の幼馴染。

*若松  …田中泯

  • 朔也の依頼人。リアルアバターを使って最後の願いを朔也に託す。
りと
りと
専門用語がいくつか並んでいますね。

リアル・アバターとは、実在空間に存在するアバターの事を指します。

  • デジタル空間におけるユーザーの姿を模した『アバター』の一歩先を行くのがリアル・アバターです。
  • 【本心】のなかで朔也はカメラゴーグルをつけて依頼人から指示通りに動く事が彼の仕事。
  • 依頼人はヘッドセットで朔也と繋がる事で、リアル・アバターとして朔也の動きを疑似体験できる仕様です。

次にV.Fですが、これは『ヴァーチャル・フィギュア』の略称です。

  • 最先端の人工知能(A.I)と添加現実といわれるAR技術を組み合わせて、仮想空間に再現された『人間』をの事を指します。
  • この『人間』は、これまでの写真や動画だけでなく、ライフログやメールのやり取りにネット検索履歴などの情報を集約する事で生成され、日々学習もしていく仕様となっているようです。

 

映画【本心】のあらすじまとめ

物語の舞台は2025年の日本。石川朔也は母子2人の母子家庭で育った青年です。

そんな朔也に突然、母・秋子が『大事な話がある』と自由死を選んだ事を告げました。健康体でまだ70歳にもなっていない母の選択に動揺する朔也は、亡くなった母の本心が知りたいと、V.F開発に携わる野崎を頼ります。

野崎からは、『本物以上のお母様が作れますよ』という若干不安を感じる言葉をかけられますが、それでも母に会いたい朔也は、生前のデータを集めるため秋子の友人・三好彩花にコンタクトを取り、彩花の協力も得て集めたデータをもとにV.Fの母が完成させました。

ひょんなことから同居する事になった彩花とV.Fの母、そして朔也の三人は穏やかで他愛のない日々を送り、以前以上に温かな日常を取り戻していきます。ところが、V.Fの母は朔也の知らなかった一面をさらけ出し始めてしまい…。

といった内容となっています。

やまこ
やまこ
亡くなった肉親に会えるというのは嬉しいけれど、V.F再現の為にあらゆるデータを集められちゃうのは、自分がV.F側だとちょっと気になるかも…。

朔也の知らなかった母の一面は、本当に母の隠された本心なのか、それともV.F独自のものなのか気になるなぁ。

 

【本心】の原作に見る映画化との違いや考察をネタバレで解説

 

原作小説『本心』と映画【本心】の違いについて

既に刊行されている原作小説『本心』に対し、映画【本心】の公開は2024年11月8日、試写会も2024年10月10日を予定されている為、現状(2024年10月3日現在)では、映画のラストや結末については分かっている事はありません。

しかし、映画【本心】のホームページに書かれている情報と、原作小説『本心』についての違いであれば、少し見受けられる部分がありました。

まず、映画【本心】の舞台が2025年であることです。原作小説では2040年が舞台とされていましたが、近年のテクノロジーの進化速度により前倒しされた未来が物語の舞台となっています。

やまこ
やまこ
2040年と聞くと少し先になるから身近な感じはしないけど、2025年となると受け止め方が大きく変わっちゃうね。だって来年の話だよ?

また、映画【本心】のホームページに記載されているキャラクターと、原作小説【本心】で朔也に影響を与えたキャラクターの相関図が完全一致しているわけではない、という部分もまた気になるところです。

映画のホームページには記載されている

  • 中尾  …野崎が生み出したV.F
  • 若松  …朔也の依頼人

の2人は原作小説の相関図には出てきません。その代わり、原作小説『本心』の相関図には

  • 藤原亮治…77歳の小説家
  • 富田  …自由死認定医母・秋子に自由詩の許可を出した
  • ティリ …コンビニバイトのミャンマー人

この3人が書き込まれていて、朔也と母の秋子に関わる重要人物として登場しているようなのです。

『本心』が映画化されるにあたり、キャラクターの抽出がどのような理由でなされているのかも気になりますが、この部分に関しては原作作家・平野啓一郎さんのコメントからにじみ出ているものがあるように感じます。曰く、

映画的な再構築を求める石井監督からの相談を受け入れました。そのうえで完成した新しい世界に、監督はじめ俳優やスタッフの皆さんを尊敬、そして感謝しています』

との事。

つまり、映画【本心】と原作小説『本心』にはストーリー展開に多少なりとも違いがあるという事ですね。

それでも、原作者が受け入れた改編なのであれば、原作小説『本心』が訴える物語の中核を変わらないという事なのでしょう。

 

主人公たちの過去を原作小説『本心』からネタバレで解説

この物語の舞台は、寿命による『自然死』に対し、合法化された自死ともいえる『自由死(安楽死)』が認められていたり、テクノロジーの発達により死者そっくりなV.F(ヴァーチャル・フィギュア)が作り出されていたりする近未来、2040年の日本です。

母子家庭で育った主人公・石川朔也は、リアル・アバターで生計を立てながら暮らしていましたが、ある日突然事故で母・秋子を失ってしまいます。

『自由死』を選んだと打ち明けられ、健康でまだ70歳にもなっていなかった秋子の選択に動揺したまま、深く話を聞く事も出来ずに母を亡くした朔也は、その本心を知りたいとV.F製作を技術者・野崎に依頼しました。

野崎から、集められるだけの個人のデータを全て提供して欲しいといわれた朔也は、母の写真や動画はもちろん、各種ライフログなどあらゆる提供を集め、姿かたちばかりか話し方まで母そのもののV.Fを手に入れたのです。

まるで蘇ったかのような母は、V.Fとはいえゴーグルをつけるだけで目の前に存在するかのようで、母との暮らしは思った以上に快適で幸せなものでした。

その生活の中で朔也は、秋子が最後に勤めていた会社で仲良くしていた三好彩花という女性と知り合います。

秋子が話していた朔也の過去から、彼に会ってみたいと思っていたと話す彩花。朔也には、生活費のために売春していた女性との退学に反発し、最後まで学校に抗議し高校を中退した過去があるのですが、その朔也の行動はとても素晴らしいと褒める彩花もまた、過去に痛みを持っていました。

彼女は母の再婚相手から売春を強要されたり、首を絞められるなどの暴行を受けていたのです。

お互い過去に痛みを持つ身として通じ合えた三好との縁は、台風の影響で自宅アパートが浸水してしまった事で、朔也の家で秋子と3人の同居生活にまで進展します。3人で暮らす日々は、秋子がV.Fであることに違和感を抱かないくらいの快適さで穏やかに過ぎてゆくのでした。

そんなある日、リアル・アバターの同僚・岸谷がテロ事件の犯人として逮捕されたとのニュースが飛び込んできました。岸谷は、自分の身体を使って依頼者の望む疑似体験を担うリアル・アバターの仕事とその生活に疑問を持っていたようなのです。

この世は間違っていると社会に異議申し立てをする意気込んだ岸谷は、闇バイトで人を集め政治家に対しての暗殺を企み、その一歩手前で逮捕となったのでした。

岸谷の逮捕を受けて、リアル・アバターへの風当たりは強くなり、会社からの要求も厳しさを増していきます。

それでも働くしかない朔也は『真夏にスーツ着用のうえ、指示された店でメロンを買って見舞いに行く』という依頼を受けますが、その依頼には、リアル・アバターとして依頼人の指示で良いように動かされる彼を見て馬鹿にするための悪意しかありません。

ガンガン照りの太陽の下、メロンを探して街中を走り回らされた朔也は、途中で依頼人の真意に気付きながらも成すすべなく振り回されましたが、仕事の終了時間を迎えると依頼人の了解を求める事無くコンビニへ向かいます。高温の下走り回った事で水を欲していたからです。

ところが、そのコンビニでもまた朔也はひと悶着する事になります。

外国人の店員に向かって『日本語を話せ』など言いがかりをつけ、差別的発言を繰り返すクレーマー客に朔也は我慢ならなかった朔也は、店員を背にかばって客の前に立つと、『帰れ!』と一喝して凄んだのでした。

するとこの行動が朔也の運命を変えます。朔也を振り回していた依頼人が、コンビニでの騒動を面白半分でネットに公開した事で、朔也の勇気を称える声が殺到したのです。

これにより朔也は、辞めようと思っていたリアル・アバターの仕事にも次々に指名依頼が入るようになり、なかには高額な依頼者からの案件も届くようになりました。

世界的に有名なアバターデザイナーのイフィーもまた、朔也の行動に感動した1人です。

車いす生活のイフィーは倍の金額で専属リアル・アバターになって欲しい、との申し出を朔也に寄せます。戸惑う朔也でしたが、一緒に暮らす彩花がイフィーのファンだったこともあり、後押しを受けて彼の専属依頼を受けたのでした。

時を同じくして、朔也は母・秋子が愛読していた本に気付き、その作者・藤原亮治に接触をはかろうとメールを出す事を決めます。母の本心を知りたい朔也としては、秋子に関わる情報を少しでも得られればと思ったのです。

藤原からの返信を待つ間も、イフィーの専属リアル・アバターの仕事は進んでいます。朔也の共同生活を知ったイフィーが彩花を自宅に招くよう事になり、やがて3人での交流が始まりました。

するとイフィーは彩花に惹かれるようになり、朔也を通じて彩花への気持ちを伝えたいと相談してきます。朔也はイフィーの気持ちを知るのと同時に、自分もまた彩花に惹かれていると気付いていましたが、その気持ちに蓋をすることを選びました。

その後、彩花はイフィーと付き合い始め、朔也の家を出て彼と暮らす事になります。

そんな折、藤原からの返事が返ってきたのです。『一度会わないか?』という言葉に、もしかして藤原は自分の父親なのではないかと疑念を抱いた朔也は、生前の母の事を聞くべく彼に会いに行くことにしました。

介護付き有料老人ホームにいる藤原は、自分が秋子と親しくなったのは朔也が生まれた後であると告げ、秋子の過去について語り始めます。

秋子がシングルマザーとして朔也を授かったのは、東日本大震災の頃でした。当時、親しくなった女性と一緒に暮らしていた秋子は、素性もわからない男の精子提供を受けて妊娠し、その子供を女性と2人で育てようとしていたのです。

ところがその女性は、出産前の秋子を置いて姿を消してしまいます。

それでも40歳になって強く子供を望んでいた秋子は、1人で朔也を産み落とし、慈しみながら育ててきました。藤原はそんな母と出会い、朔也が保育園の頃から数年にわたり愛人関係にあったと告げるのです。

藤原から話がきけたことで、朔也は自分が知る母としての秋子ではない、1人の女性として過ごしていた秋子を知る事が出来ました。

V.Fの母に、自由死や出産時の事を聞いても『分からない』としか答えない部分を藤原から得られた朔也は、V.Fの母との関係を終わらせようかと考えます。

そんな朔也の前に、意外な人物との再会が待っていました。あのコンビニで怒鳴りつけられていた店員・ティリです。

『日本語をしゃべれ!』と怒鳴られていた彼女を日本語学校に通えるよう手配した事で、朔也は日本で暮らす外国人をサポートするボランティア活動に興味を抱きました。

これをきっかけに、人生に明確な目標が見つけられた朔也は、福祉の仕事に携わる為の勉強を始めるために、イフィーの依頼含めリアル・アバターの仕事を辞めます。

母が自由死を望んだ『本心』を知りたいと奔走した結果、秋子が本当に望んでいたものは何なのかについて触れられた気がした朔也は、それこそが母の『本心』だったのではないかとの想いを抱えながら、今日を生きていくのでした。

 

原作小説『本心』の結末ラストを考察したさまざまな声を紹介

結局、自由死を選んだ母の『本心』については、原作にも明確なものは記されていないようです。だからこそ、『本心』を読まれた方々の感想にも、秋子の『本心』に関する感想と共に考察の言葉が多く見られました。その一部を抜粋してみましょう。

男性
男性
母の『本心』は、朔也の負担になりたくないというものだったのではないだろうか。

この本にはイフィーや藤原のような裕福層と、朔也や彩花・岸谷らのように経済的に恵まれているわけではない対比が多く描かれている。この印象的な対比が、秋子の自由死はある意味朔也を自由にしたいという『本心』からのものじゃないかと感じた。

女性
女性
母が自由死を選んだ理由は『朔也を育て上げた』自負からではないかと思いう。

同居していた女性が去った事で、妊娠中の母はきっと絶望しただろうし、もしかしたらその時にも死にたいと思ったかもしれない。

それでも、自分の望みで身ごもった朔也を死なせるわけにはいかないと歯を食いしばって育て上げたからこそ、これ以上の望みはないと自由死を選んだのでは…?

女性
女性
個人的には、意識もなくただチューブに繋がれた老後を生きるよりも、自由死という安楽死は早く合法化して欲しいと思っている。

でも、自由死を選ぶならその理由の説明責任があるのかと強く感じた。

とはいえ、『本心』を明かさずに亡くなった母からどんな説明を受けていたとしても、朔也が母の選択を理解できたとは思えない。だって『本心』なんてそんな簡単に共有できるものじゃないと思うから。

このように、読み手によって『本心』への考察が変わるようです。そこには、自由死に対する読み手の印象や考え方も大きく影響しているのでしょう。

原作小説にある『本心』は考察の余地を残すものでしたが、映画的な再構築を施した映画【本心】では、どのように描かれるのか気になりますね!

 

まとめ

この記事では、映画【本心】について、原作小説からそのネタバレを拾うことで、結末ラストがどうなるのかについて調べてみました。

原作小説『本心』では、映画【本心】で紹介されているキャラクターがそれほど活躍している印象はありませんでしたが、原作者の平井啓一郎さんのコメントからは、映画と小説は少し違う構築を展開している、ということが分かります。

その為、小説を読んでネタバレを掴んでいても、もしかしたら結末やラストは違っているかもしれませんね。

そんな映画【本心】は、2024年11月8日公開です。

原作との違いだけでなく、昨今目まぐるしい進歩を見せるテクノロジーで形成された世界を体感してみませんか?

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