秒速5センチメートルの結末なぜ?貴樹はクズなのかその後についても考察

実写映画【秒速5センチメートル】が、2025年10月10日に公開されます。
【秒速5センチメートル】と言えば、大ヒット映画【君の名は。】の監督としても知られる新海誠監督の初期アニメとしてご存じの方も多いでしょう。
2007年の名作アニメ【秒速5センチメートル】が、公開から約20年近く経って実写映画となって帰ってくるのです。
アニメ【秒速5センチメートル】は、新海監督ご自身がおっしゃるように、未完成の色を強く残したまま結末を迎えます。
また、主人公・遠野貴樹の言動についても『クズ』という強い言葉の人物評が舞っており、名作と言われながら『なぜあんな結末なのか?』『その後の展開はどうなるのか?』と言った、未完成な印象ゆえの感想も多く寄せられている事も印象的な映画です。
そこで今回は、映画【秒速5センチメートル】についてアニメ版を元に調べ、結末のその後となぜ貴樹がクズと言われる理由について調べてみました。
Contents
アニメ映画【秒速5センチメートル】の貴樹はクズなのか?
GW(近辺で)に見た映画シリーズ!③「秒速5センチメートル」
なんで俺は何度も見てるはずの映画をスクリーンに2週間限定上映中に2回も見に行ってるんだ
名作。秒速は銀幕でみないとダメ。貴樹くんはクズ野郎だが上映後、女の子が「ちょっとこれ切なくない!?」って言ってた。…正しい! pic.twitter.com/Mr1NMylSPP— メカペニ (@mekapeni) May 6, 2024
主人公がクズってどんな話なの?
アニメ映画【秒速5センチメートル】のあらすじをネタバレまとめ
- 桜花抄(おうかしょう)
- コスモナイト
- 秒速5センチメートル
の3タイトルで構成されています。
ここでは、全編通してのストーリー展開をまとめてみました。
主人公・遠野貴樹は転校先の小学校で初恋に落ちます。
相手は同じく転校生の・篠原明里。
共に歩く帰り道、踏切の向こうに駆け出した明里が言います。
『桜の花びらが舞い落ちる速度って、秒速5センチメートルなんだって。』
『来年も一緒に、同じ景色を見たいな。』
そう言っていた明里ですが、小学校の卒業と共に明里は栃木県に引っ越す事になってしまいました。
公衆電話から涙声でそう告げる明里に、悔しさと淋しさからか、優しい言葉をかける事が出来ない貴樹。
それでも2人は、東京と栃木と言う距離にも負けず手紙のやり取りを重ねます。
貴樹が栃木まで会いに行った日、大雪のため大幅に遅れて到着した電車、それでも明里は駅のホームで待っていてくれました。
やがて閉まる駅舎を後にした2人は、降り積もった雪道に立つ桜の木の下でキスをします。
この瞬間、自分たちがずっと一緒にいる事は難しいという現実に気付いた貴樹でしたが、それでも2人は畑の近くにある小さな小屋で語り合いました。
それは、2人だけの世界で過ごした大切な時間となり、貴樹の心から消える事は無かったのです。
中学2年生になった貴樹ですが、彼もまた東京を離れ種子島に引っ越します。
クラスメイトの澄田花苗は、島の男の質とはどこか違う貴樹に惹かれ、彼との接点を増やそうと頑張るも、その気持ちが彼に届く事はありません。
優しく穏やかな貴樹は花苗との時間を拒否はしないし、タイミングが合えば一緒に帰ろうと誘ってくるのに、ふとした時に携帯電話を見る彼の心には常に明里がいるからです。
けれど手紙のやり取りはいつしか絶え、携帯電話にも出す当てのない送信メールの下書きと、何も届かない待ちぼうけの受信欄しかありません。
ある日の帰り道、ロケット運送の為の通行規制に行き当たった貴樹は、
『時速5キロなんだって、打ち上げ場まで。』
という花苗の言葉にハッとします。誰もいない場所まで一人飛んでいくロケットに、貴樹は孤独な自分を重ねるのでした。
そんな彼に告白を決意する花苗ですが、結局『好き』という言葉は口に出来ないまま泣き出してしまいます。
他の子とは違う貴樹だけれど、彼は目の前にいる自分じゃなくて、遠く遠い場所の何かを想っている、と気付いてしまったからです。
そんな時、轟音を鳴らして高く打ちあがるロケット。2人で見上げたロケットはあっという間に成層圏を突破していくのでした。
そうして、貴樹は大人になりました。
彼は東京に戻り、仕事に追われる日々を送っています。水野理沙という彼女もいて、端から見れば順風満帆の生活を送っているように見えるでしょう。しかし貴樹は、理沙からの電話にも出ない、メールも送らない、心は未だ初恋に捉われたまま。
3年も付き合っている理沙への連絡も滞りがちな貴樹は、
『心が近付けた気がしなかった』
と言って振られ、現状の生活に限界を感じ会社も辞めてしまったのでした。
結局、貴樹の初恋はどんな結末を迎えたのかしら?
アニメ映画【秒速5センチメートル】の貴樹評を集めてみた
アニメ【秒速5センチメートル】の感想には、貴樹みたいなクズ男はイヤ!といったものが散見されます。
それは何故でしょうか?
多くの方が抱える貴樹へのマイナスイメージの根本には、彼の女性に対する態度に問題があるようです。
貴樹は初恋の明里を追い求めているため、自分に好意を抱く女性への態度に誠実さが足りない描写がよく見られます。ここが多くの方にとって受け入れられないのでしょう。
例えば高校時代のクラスメイト・花苗に対しては、周囲から付き合っていると誤解されるほど同じ時間を過ごすも、貴樹の心は彼女の方を向いていません。
花苗自身が気付いてしまうほど、貴樹は彼女に興味がないのです。
にもかかわらず優しいため、その態度が『誰にでも優しい人は結局本当の意味では優しくない』といった感想をもたらしてしまうのかもしれませんね。
この態度はまぁ、思わせぶりと感じさせちゃうかも。
そんな貴樹を更に『クズだ』と断じさせてしまうのは、やはり社会人になってからの彼女・理沙に対する態度でしょう。
作中で理沙が言葉を発するシーンはほぼ無く、ただ貴樹からのメールを待ち続けている描写が多く見られます。自宅で会社で、何度も開かれる携帯電話。そこに貴樹からのメールはありません。
そんな彼の態度に
- 大人の女性の3年を舐めすぎ
- メールも碌にしないくせに別れもしない優柔不断さが許せない
- 初恋を引きずるなら他の女性を巻き込まないで
といった声が寄せられていました。
貴樹をクズだと断じる方の多くは、理沙の立場を考えて『最低だ』と感じられたようです。
ただ、貴樹をクズだと感じていない方も勿論いますよ。
貴樹に対して『クズ』という評価を下す方がいれば、そこまで悪く感じていない方もいました。その理由としては
- 初恋が中途半端に終わったからなのかな
- 付き合って3年なら、このぐらいの連絡ペースは普通にある気がする
- 彼女を大切にしていないとはいえクズというほど最低な男だとは思わない
と言ったものが見られます。
確かに貴樹は初恋を引きずり彼女に対してぞんざいな扱いをしていますが、しかしその行動が理沙と付き合いだした当初からかどうかをアニメから判断することは出来ません。
昭和歌謡には『3年目の浮気』を歌ったヒット曲もあります。つまり、いわゆる倦怠期だったのではないか?との見方です。
ただし、この点については理沙が
『心は近付けなかった』
と言っていますので、態度や連絡頻度は分からずとも、貴樹の心の中には常に明里がいた事は伝わります。
そうは言っても、貴樹に暴力やギャンブルなど生活の破綻を呼ぶような傾向は見られません。
そのため貴樹をクズだと感じる方は、彼の女性に対する態度を見てそう感じ、クズとは感じていない方は総合的に見て貴樹はそこまで酷くない、といった見方をしているようですね。
実写映画【秒速5センチメートル】はアニメの結末その後を描くのか?
⠀『#秒速5センチメートル』
* • · 最新予告&主題歌解禁 · • *主題歌┊#米津玄師「1991」
(読み:ナインティーンナインティワン)10月10日(金)公開#松村北斗 #高畑充希
原作 #新海誠
監督 #奥山由之 pic.twitter.com/5T4oBsi66T— 『秒速5センチメートル』映画公式アカウント (@5cm_movie_2025) August 20, 2025
そのため実写化には強い懸念の声も聞かれましたが、いったいどんなお話しになるのでしょうか?
アニメ映画【秒速5センチメートル】の結末をネタバレ解説
アニメ【秒速5センチメートル】は、鑑賞した人それぞれに解釈を委ねるという結末を迎えます。
理沙に振られた貴樹はある日、明里との学校帰りにあった想い出の踏切に行き当たるのですが、そこで彼は、ある女性と擦れ違いに何かを感じるのです。
女性もまた同じように、何かを感じたのかもしれません。渡り切った先で彼らは互いに振り向きますが、その瞬間行き交う電車によって視線を遮られてしまいました。
やがて過ぎ去った電車の向こうに女性の姿はなく、貴樹はその事実に何かを感じたような笑みを浮かべ歩き出す…こえがアニメ映画【秒速5センチメートル】の結末なのです。
この結末についても、様々な解釈が見られました。その多くが
といったものです。
その理由としては、電車が通り過ぎるのを待っていた貴樹と待たなかった彼女、という対比がはっきりしているからと言われます。
式を目前にしていること、また彼と楽しそうに歩く明里の姿も作中で描写されています。
つまりこの時、待っていなかった彼女にとって初恋は過ぎた想い出になっている、過去ではなく未来を見ているとも言えるのではないでしょうか。
踏切で、相手を確認しないという選択をした彼女が明里だったかの確証はありません。しかし、そこですれ違った2人が何かを感じたことは確かで、結果貴樹だけが相手を待っていた事実だけが残りました。
そして彼は、誰もいない踏切の向こう側に少し笑むようにして歩き出すのです。
解釈は人それぞれですので、この結末を実写映画がどう描くのかが待たれます。
実写映画【秒速5センチメートル】では『結末のその後』を見せてくれるのか?
実写映画【秒速5センチメートル】に寄せられる期待の声の1つ『アニメの結末のその後まで描いてくれるのか?』については調べても分かりませんでした。
これはつまり、アニメの結末を許容出来る・出来ないの両極論による『結末の改変』を認めるかどうかでしょう。
アニメの結末の余韻を愛するファンからは『改変などありえない』という声が、反対にアニメの結末に何らかの不満がある方からは『違う結末が見たい』という声が寄せられているのです。
改変を望む声の中には『結末のその後が見たい』といった声もあり、それは貴樹と明里が結ばれる・結ばれないに関係なく、せっかく実写化するのであればアニメをそのまま踏襲しなくても良いんじゃないか?といった考えからくるのかもしれません。
実写映画【秒速5センチメートル】は、アニメ版の監督・新海誠監督ご自身から発表され、当時は大きな話題となりました。
主人公に新海作品で声優を務め、監督からの信頼厚い松村北斗さんを迎え、米津玄帥さんや星野源さんのMVを作られた奥山由之監督がメガホンをとった今作には、アニメとは違う展開が用意されているようで、予告動画には再会を約束する言葉が流れています。
松村北斗さん演じる大人になった貴樹が、雪の舞う桜の木の下に佇む映像も流れますが、アニメ版にこの展開はありません。
実写版に用意されたこの再会の約束は、果たしてどんな結末を迎えるのでしょうか?
一足先に実写映画【秒速5センチメートル】をご覧になった新海監督は『泣いてしまった』と感想を綴られています。
生みの親である監督も涙した結末がどうなっているのか、実写映画【秒速5センチメートル】のラストも気になりますね!
まとめ
🎬秒速5センチメートル
3話から成る1時間がゆっくり長く感じられる
舞い落ちる桜も降りしきる雪も吹いていく風も
自然の描写や都会の街並すべてが美しく抒情的!
あの頃の切なさやもどかしさが心の深くまで沁みてくる
大好きなアニメだけに実写?って思っていたけど予告編を観て今はすごく楽しみ! pic.twitter.com/v7stZ76x51— 碧 (@aoi_airugreen) September 10, 2025
今回は、実写映画【秒速5センチメートル】についてアニメ版を調べ、なぜ貴樹がクズと言われているのか、また実写化に際し結末の改変やその後の展開があるのかについても調べてみました。
2007年の公開から長きに渡り根強いファンを抱えるアニメ映画【秒速5センチメートル】の結末は、見た人それぞれに解釈がある結末を迎えます。ありていに言えば、分かりやすいハッピーエンドではない、という事です。
そのため、結末については満足する方もいれば『鬱end』といった強い言葉で、このラストを受け入れられない方も少なくありません。
小学生で得た初恋を引きずりながら大人になった主人公・貴樹については、『クズ』や『女性の敵』といった批判的な意見も見られ、ここまで主役が受け入れられていない作品をなぜ実写化するのか?と感じた方も少なくないでしょう。
しかしこの『貴樹=クズ』説については、女性の時間や気持ちを蔑ろにしているとの批判的な意見から派生したものが多く、『クズとまでは感じない』といった主張も当然ありますので、こういった感情の揺れが見られる分、実写化でどう描くのかについては演出幅が広がりますよね。
また結末についても、実写映画【秒速5センチメートル】がどうやって迎えるのかも気になるところです。
想い出の踏切で擦れ違うも、顔を合わせる事は叶わなかった事で初恋に見切りをつけたのではないか、と解釈される結末の貴樹の表情など、実写化の主演・松村北斗さんがどう演じてくれるのかも期待が膨らみませんか?
今勢いのある役者さんの一人だと思うわ!
実写映画【秒速5センチメートル】は、2025年10月10に公開されます。
予告動画で流れる美しい映像美と青年の恋の結末を、大きなスクリーンで確かめてみませんか?