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六人の嘘つきな大学生で、嶌の好きな人は誰?足の障がいの伏線についても解説

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作家・朝倉秋成さんの著書『六人の嘘つきな大学生』が、2024年11月22日に映画公開となります。

これは、新進気鋭のIT企業・スピラリンクスの就職試験の最終選考に残った男女6人が、ある告発文から始まる暴露合戦に巻き込まれる事件から始まる物語です。

この混乱の結末は、1人の青年が犯人だと糾弾された事で前半を終えるのですが、物語の後半はこの青年の死から始まります。

最終試験から8年後の後半、主人公となるのは唯一スピラリンクスに内定できた嶌衣織です。

足の障がいを抱えながらもスピラリンクスで頑張る彼女のもとに、犯人だと糾弾された青年の死が知らされたことで、嶌は当時の最終選考に残ったメンバーにインタビューしながら本当の犯人に迫ります。

交流を重ねることで仲間意識を高めていた6人の中に犯人はいるのか、そしてその動機は何なのか…。

前半と後半で主人公を変えて展開される『六人の嘘つきな大学生』には、犯人を追うミステリーパートに大学生らしい恋愛要素が重なって、好きな人がいる心理状態や嶌の足の障がいすら多彩な伏線の1つに使い、多くの方を騙しながら楽しませる力があります。

そこでこの記事では、『六人の嘘つきな大学生』の結末について、嶌の好きな人と犯人の動機について、伏線の効果を含めながら調べてみました。

 

『六人の嘘つきな大学生』の嶌には好きな人がいるの?それは誰?

やまこ
やまこ
厳しい就活が舞台だと思ってたけど、恋愛要素もあるのね。楽しみ!

 

『六人の噓つきな大学生』のキャラクター紹介

まずは登場人物を押さえておきましょう。

前半パートの主人公は、立教大学経済学部の学生・波多野祥吾。学力もスポーツも平均な彼は嶌の事が気になっていましたが、最終試験の混乱を生んだ犯人と糾弾されその場を去っています。その8年後、悪性リンパ腫で亡くなりました。

続いて後半パートの主人公は、早稲田大学社会学部の嶌衣織です。洞察力に優れ、情報収集能力にも長ける彼女は、最終試験から八年後に訪ねてきた波多野祥吾の妹・芳恵と共に真犯人探しを始めます。

6人の大学生のうち残り4人はそれぞれ、慶応大学に通う久賀蒼汰と明治大学の袴田亮、それからお茶の水大学の学生・矢代つばさに一橋大学の森久保公彦です。

彼らはみな優秀でしたが、告発文による暴露からスピラリンクスの内定者には選ばれませんでした。

りと
りと
さらに詳しく抑えておきましょう。

前半パートで暴露された彼らの秘密は

  • 波多野祥吾:未成年飲酒をしたことがある
  • 久賀蒼汰 :交際女性を中絶させたことがある
  • 袴田亮  :高校時代いじめで自殺者を出した
  • 矢代つばさ:キャバクラでの勤務経験がある
  • 森久保公彦:高齢者への詐欺

となっています。

嶌への告発文は波多野が公開する事なく持ち去ったため、彼女の秘密が前半で明かされる事はありません。

これら告発文による暴露への言い訳もまた伏線の1つとして活用されていますので、『六人の嘘つきな大学生』の仕掛けの多さに驚かされるばかりです。

 

嶌の好きな人を考察してみる

結論から言いますと、嶌の好きな人は久賀蒼汰だったのではと考えられます。

作中で嶌が久賀に告白したり、わかり易く恋バナしているようなシーンはありませんが、彼女が久賀を特別に思っていたのでは?と読み取れる部分があるのです。

それは、亡くなった波多野の妹・芳恵と一緒に、8年前の最終試験を撮影した映像を見ている時の描写に表現されています。

兄は嶌さんの事が好きだった、と最終試験の映像を見ながら気づいた芳恵は、その理由をこう述べています。兄が少し格好つけた視線で嶌さんを見ていたから、と。

そのうえで『内定に相応しい人を自分以外から選んで1票投じる』という、スピラリンクスの最終試験で彼ら6人が決めた内定者選考方法は、ある種の人気投票ともいえる、と言い切った芳恵は、6回あった投票のうち兄はずっと嶌さんに入れていたと説明します。

この芳恵の説明は、嶌の身にも覚えのあるものです。嶌は6回中5回久賀に投票していたため、芳恵に対し『鋭い考察ね』と認めるような発言をしていました。

さらに、後半の真犯人を追うパートでは、久賀本人から嶌の気持ちについて言い当てるようなシーンがあります。6回目の投票の前に公開された久賀の告発文による『交際相手を中絶させた』という衝撃的な暴露に彼女はしばらく久賀を見つめていたようなのです。

その視線に気づいていた久賀は『色んなものが混ざり合った視線を僕に向けていたね。侮蔑と失望、それに疑念…意外と伝わるんだよそういう感情は』と話しているため、もしかしたら久賀自身が島から向けられる好意に気付いていたのではないか?とも考えられないでしょうか。

 

嶌の足の障がいを含む伏線だらけな『六人の噓つきな大学生』

やまこ
やまこ
『六人の嘘つきな大学生』は、文字を追って読む本だからこその仕掛けが伏線の一部を担ってたけど、映画ではその辺どうやって表現するのか気になるわねぇ。

 

嶌の足の障がいが伏線となったミスリード

嶌には、兄の運転する車に同乗していた際の事故によって負った足の障がいがあります。

嶌の足の障がいは、文字を追う小説内では言語化されないと分かりません。この、小説ならではの仕掛けで読み手の思い込みを利用した『六人の嘘つきな大学生』では、スピラリンクスで暴露される5人の過去を裏付けるように、彼らの人間性を下げるようなミスリードとして嶌の足の障がいが使われています。

例えば、矢代つばさはキャバクラで働いていたという告発文に加え、嶌と波多野と一緒に電車に乗った際、躊躇なく優先席に座る場面が描かれた事で、他者を顧みない傲慢な性格のように表現されていました。

また久賀蒼汰の場合も、駐車場が空いているにも拘らず身体障碍者マークのある駐車枠に車を停めており、告発文の『中絶させた』過去を裏付けるかのように、他者への配慮に欠ける人間として描かれてています。

それぞれ矢代は嶌たちに『座りなよ』とすすめ、久賀は『ここなら近くていいかなと思って』と、少々常識に欠ける発言までするキャラとされていましたが、しかしここに『嶌は足に障がいがある』というポイントを加えてみたらどうでしょう。矢代も久賀も、嶌の不自由な足への配慮があるからこその行為だったことが分かります。

このように、文字ならではのギミックを使って嶌の障がいを公にしない伏線に、多くの読者がまんまと騙されたことで、『六人の嘘つきな大学生』後半の伏線回収がより活きる構成となっているのです。

りと
りと
ある意味、映画化されたことで一番気になるのがこの『嶌の足の障がい』を使った伏線によるミスリード部分です。

文字ではうまく隠して伏線と出来た事でも、足の障がいを映像に映し出す事無く表現するには、かなりの制限が生まれそうですよね?

嶌を演じる浜辺美波さんがどんな風に演じてくれるのか、映画が楽しみです!

 

『六人の嘘つきな大学生』が張り巡らせた伏線から伝わることとは

『六人の嘘つきな大学生』たちが、何故うそつきだと言われるのか…それは、スピラリンクスの最終試験を搔き乱した告発文の真犯人・久賀蒼汰の動機が『優秀な友人がスピラリンクスの二次試験に落ちた事』だったことがベースになっています。

久賀は、最終試験に残った6人が友人よりも優秀だとは思えず、スピラリンクスほどの優良企業でも学生の本質は見抜けないと失望したことで、こんな事件を起こしました。

そのため、彼らの人間性が悪しきものとして映るように伏線が張り巡らされているのです。

例えば、高齢者詐欺をしていたと暴露された森久保ですが、彼は詐欺だと気付いた時点ですぐに抜けており犯罪に加担していません。にも関わらず、嶌のインタビューに『騙される方が悪い』と答えた事で、反省していないと読者は思い込んでしまいます。

しかし彼の『騙される方が悪い』というのは、母子家庭で育ち学費に困っていたが故に怪しいバイトに手を出し『騙された自分が悪い』と言っているのです。

りと
りと
伏線回収されてしまえば、森久保は詐欺師という悪人ではなく、学費に困っていても犯罪に手を出す事無く自分が悪いという彼に好感すら感じちゃうわよね。

このように、人間は一面のみで構成されているわけではない、という事が『六人の嘘つきな大学生』の伏線には込められているように感じます。

優良企業の厳しい就職試験最後の6人に残るくらい優秀な大学生という顔と、告発文で下落した評価、それをまたひっくり返す伏線回収からのラストに、読者の感情を大きく二転三転させる見事な構成が、人間の多面性を表現しているのではないかと思うのです。

それを一番体現しているのは、犯人と糾弾された波多野でしょう。

彼は、身に覚えのない告発文の犯人と疑われスピラリンクスから脱落し、他企業に就職した後も真犯人を追い続けた挙句病死したキャラクターですが、嶌への恋心と身の潔白の証明を天秤にかけた葛藤が見てとれるラストに涙した読者も多かったようです。

りと
りと
『六人の嘘つきな大学生』では、伏線以外の些細な違和感にもきちんと意味があります。

例えば、この小説には実際の固有名詞が多用されているのですが、これは単なるリアルの探求ではなく真犯人を紐解くヒントの為には必要な事だったのです。

このように、些細な部分にも意味があるからこそ、一度読んで真犯人が分かってからもう一度読み返したい、という声が多いのでしょうね。

 

おまけ

今回の記事では『六人の嘘つきな大学生』の後半パートの主人公・嶌衣織について、彼女の好きな人と足の障がいを焦点に、作中に張り巡らされた伏線とその意味について調べてみました。

嶌の足の障がいは、その事実が明かされるまで学生たちの人間性をミスリードするための伏線として活用されており、こういった伏線の数々は『人間の多面性』を表現しているように感じます。

そんな人間の多面性には『好きな人がいる』というコントロールできない感情も影響を及ぼしている、それが波多野が残したラストに集約されていたため、彼の最期に涙したり波多野の生き方に共感した方も多かったようですね。

文字だからこその伏線である嶌の足の障がいがどのように映し出されるのか、その反対に『好きな人』への失望や葛藤を役者さんが同映像表現として見せてくれるか、色んな意味で楽しみな映画【六人の嘘つきな大学生】は2024年11月22日公開となります。

小説で多くの方を翻弄した6人の大学生たちが動いている姿を、スクリーンで確認してみませんか?

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