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11人の賊軍は実話なの?映画の元ネタや実在していたのかについても調べてみた

kuroneco
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昭和の名脚本家、笠原和夫さんをご存じでしょうか?

『日本侠客シリーズ』や『仁義なき戦いシリーズ』など、令和の現代でも人気を集める作品を代表作とする脚本家ですが、この笠原さんには幻の脚本がありました。それが【十一人の賊軍】です。

明治維新に揺れた日本最後の内戦・戊辰戦争中、討幕派と旧幕府派に挟まれた小藩・新発田藩の戦いを描いた【十一人の賊軍】が映画化され、2024年11月1日に公開されます。

【十一人の賊軍】は実在の土地や歴史上の動きを元ネタとしていますが、映画化された物語にはどれくらい実話が盛り込まれているのか、登場キャラクターは実在の人物なのかなど、気になる部分がたくさんですね。

そこでこの記事では、映画【十一人の賊軍】の元ネタに実在する新発田市の歴史の実話をどれほど組み込んでいるのか、映画のあらすじやキャスト陣も含めて調べてみました。

 

幻のシナリオ【十一人の賊軍】が遂に映画化!

りと
りと
一度は破棄された幻の脚本が、今の時代だからこそ映画化するべきだ!という熱いスタッフとキャストが集まったと話題の【十一人の賊軍】!

かなりハードな内容みたいだけど、気になるなぁ。

 

映画【十一人の賊軍】のあらすじ

舞台は激動の時代・江戸後期から明治にまたがる1868年の新発田藩(しばたはん)

『鳥羽・伏見の戦い』で火蓋を切った徳川最後の将軍・慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩と長州(現在の鹿児島県と山口県)を中心とした新政府軍の戦いは、侍の時代最後の戦争・戊辰戦争へと突入しました。

新政府軍による王政復古の波はやがて日本中をも巻き込み、旧幕府軍を北へ北へと追い込む途中、東北の小藩・新発田藩に差し掛かります。

新発田藩は、旧幕派の奥羽越列藩同盟に加盟していましたが、迫る新政府軍に逆らいたいわけではありません。しかし、新発田藩を奪われては東北が一気に新政府軍に追い込まれると考える奥羽越列藩同盟からは、出兵を拒むのであれば我々が攻め込むぞ、と迫られます。

迫る新政府軍と突入準備している奥羽越列藩同盟の板挟み状態に、新発田藩城代家老・溝口内匠は藩の存亡をかけた決断を迫られます。これに苦悩した溝口内匠は、家臣たちからも決断を迫られるなか、吹っ切れたようにとある作戦を決断しました。

それは、死刑を待つ咎人に要の砦を守らせる事…。

妻の復讐のため、侍を殺めて死罪を言い渡された政を始めとした癖の強い10人の咎人と、彼らを取りまとめ故郷の為に戦うことを決めたた侍・鷲尾兵十郎たち11人は『決死隊』として、文字通り命懸けの戦いに身を投じてゆくのです。

新発田藩・同盟軍・新政府軍の三者三様の思惑が交錯するなか、砦を守り抜けば無罪放免と言われた11人の賊軍、彼らの運命を描く集団構想時代劇、それが映画【十一人の賊軍】のあらすじとなります。

 

映画【十一人の賊軍】のスタッフ・キャストまとめ

監督*白石和彌さん。

  • 【凶悪】や【孤狼の血】など、生々しい心身の描写力が特徴的で、代表作を多数抱える監督です。

原案*笠原和夫さん。

  • 勲四等瑞宝章を受章されている昭和の名脚本家です。
  • 【十一人の賊軍】には、『勝てば官軍』という勝った方が全て正しいという考えに一石を投じるべく構想されました。

脚本*池上純哉さん。

  • 白石監督とタッグを組むのは【孤狼の血】などに続く4度目になります。
  • 【日本で一番悪い奴ら】で日本アカデミー賞脚本賞受賞を受賞されました。

*キャスト陣*

政・・・山田孝之さん

主人公のひとり政は、幼少期より恵まれない人生を送ってきましたが、サダという女性と出会った事が大きな転換になったキャラクターです。彼女と結婚したことで人間らしい日々を送れるようになった政ですが、愛するサダを侍に殺され復讐したことで捉えられ、死刑を言い渡されてしまいました。

山田さんは、苛烈なアクションが続く撮影現場にもかかわらず空気感が温かくアットホームだったと述べられており、

『この作品で描かれる賊軍の生きざまが、ご覧になった方の心に勇気を与えられたらいいなと思っています。』

とのコメントを発表されています。

鷲尾兵十郎・・・仲野太賀さん

もう一人の主人公・兵十郎は新発田藩藩士として、故郷を守るため同盟軍と新政府軍がかち合う砦の戦いに身を投じるキャラクターです。兵十郎は、旧幕派の同盟から抜けたい新発田藩の中では珍しい佐幕派として、新政府軍を迎え撃つべく癖の強い10人の咎人を束ねながら決死隊を率いて戦います。

  • ※佐幕派とは…尊王攘夷思想を持ちながらも、朝廷より征夷大将軍を任命されている江戸幕府こそが尊王攘夷であるという考え方。
りと
りと
この他にも、新政府軍を率いる参謀・山縣狂介役に玉木宏さん、新発田藩城代家老役に阿部サダヲさんなどが配役されており、賊軍に名を連ねる尾上右近さんや千原せいじさんなど、インパクトのある俳優さんがキャスティングされています。

新政府軍vs旧幕同盟vs賊軍の三つ巴の行方を、個性豊かなキャスト陣がどんな風に演じて魅せてくれるのか、すごく楽しみですね!

 

映画【十一人の賊軍】は実話なの?元ネタもについて解説

やまこ
やまこ
歴史上の出来事を描いてるんなら、キャラクターには実在のモデルがいたりするのかな?戊辰戦争は知ってるけど、細かな戦いまでは覚えてないんだよね…。

 

映画【十一人の賊軍】の元ネタ調べ

幕末からの激動の時代、新発田藩では本当に【十一人の賊軍】のような戦いが起こっていたのでしょうか?

歴史の授業でも習う戊辰戦争は、実在した内戦ですね。これは『鳥羽・伏見の戦い』を皮切りに、北海道の五稜郭の戦いまでを総括した戦争の事で、薩摩・長州を中心とした新政府軍が北へ北へと攻め込みながら日本を明治維新に組み込んでいった戦いです。

旧幕府軍を追うようにして北上する新政府軍にとって、新発田藩(現在の新潟県新発田市)はある意味ポイントの1つでした。なぜなら、新発田藩を始め東北の諸藩が同盟を組んだ奥羽越列藩同盟軍がそこに控えているからです。

この奥羽越列藩同盟は、近隣諸藩の陸奥の国(現在の青森県・岩手県・宮城県・福島県・秋田県北部)と出羽の国(現在の山形県・秋田県)、そして越後の国(新潟県)の三国で組まれており、新発田藩もまた新政府軍の圧力に抗う旧幕派に参加していました。

ところが、いざ新政府軍が押し寄せてくると、新発田藩は同盟からの離反を決意します。この奥羽越列藩同盟は諸藩の想いが合致した強固なものでは無く、周辺からの圧に屈して参加していた藩も多く、新発田藩もまたそうだったのです。

しかしこの奥羽越列同盟は、一枚岩としての強さは持っていませんでした。新発田藩は当初、新政府軍寄りの立場を取ろうと考えていましたが、仙台・米沢藩からの恫喝を受け、その圧に屈して参加しただけと言われています。

こういった経緯があっての奥羽越列藩同盟ですので、新発田藩は新政府軍に抵抗する意思がほぼありませんでした。同盟を結ぶ長岡藩が新政府軍に攻め入られ苦戦していても、援軍を送る事に消極的だったくらいです。

しかしその消極性を同盟軍は許すはずがありません。新発田藩の裏切りを案じた米沢藩は、幼い新発田藩藩主・溝口直正を人質として差し出さなければ攻め入ると脅しをかけます。これにより新発田藩は同盟軍からの圧を交わしきれず、長岡方面の戦いに参加せざるを得なくなってしまったのでした。

りと
りと
ここまでが映画【十一人の賊軍】の ベースとなっています。 ただし新発田藩の歴史には、罪人たちが砦を守るために戦ったという記録は残っていません

新政府軍が官軍としてどんどん旧幕派を圧し潰すさまが、笠原さんにとって

『勝てば官軍という言葉でまとめられがちだが、勝ったものがすべて正しく、勝つ事だけがが正義なのか?

と一石を投じる葛藤を脚本として書き上げるエネルギーとなったのかもしれませんね。

新発田藩の歴史記録には、同盟の圧に屈して長岡藩の戦いに参加はしたものの、新発田藩が積極的に攻撃する事は無かったと記されています。新政府軍からの攻撃に備えながら、闘いの水面下で新発田藩家老・溝口半兵衛は京に詰めて居る窪田半兵衛と連絡を取り新政府軍との交渉を進めました。

こうして同盟軍から脱し新政府軍に合流したことで、新発田藩は戦果から逃れる事が出来、溝口家は明治時代に至るまで取り潰されることも無く12代に渡り新発田を統治したと記録されています。

やまこ
やまこ
これが、戊辰戦争中の新発田藩の動きなんだね。

上手く時流を読んで新政府軍に与したことで、藩主の家柄は明治時代以降も残されているから、同盟軍を離れた事は正解だったんだろうけど、その分この行動は長岡藩を始めとする同盟諸藩からは裏切り行為としてしこりを残したみたい。

 

映画【十一人の賊軍】に実在の人物は出てくるの?

実際の歴史上の出来事をベースにしている映画【十一人の賊軍】はですが、では登場キャラクターにも実在の人物がいるのでしょうか?

【十一人の賊軍】は、主人公の政や鷲尾兵十郎のほか賊軍10人にも、ちゃんと名前があります。しかしどれもあだ名に近いような名前が多く、実在の人物かどうかは調べても分かりません。賊軍たちが砦を守ったという歴史が新発田藩の記録に存在していないようなので、賊たちもまた実在していないと考えて良いでしょう。

ただし、歴史上の人物名で登場しているキャラクターもいます。それが新政府軍の山縣狂介と、新発田藩家老の溝口内匠です。

山縣狂介は、その名字からピンとくる方もいらっしゃるかもしれませんが、山縣有朋のいくつかある別名の1つとして知られています。

山縣有朋は長州藩の下級武士の息子として生まれ、尊王攘夷運動に従事し高杉晋作が創った騎兵隊の総責任者を務めあげました。戊辰戦争でも、各地の戦いに転戦しながら明治維新を成し遂げる一人として活躍したのち、討幕後の新政府では各種様々な役職を渡り歩いています。1889年には内閣総理大臣にもなっていますので、教科書で名前だけは記憶にある、という方も少なくないでしょう。

そんな山縣有朋に比べ、そこまで知名度はないものの溝口内匠もまた実在の人物として、新発田市の歴史に名前が残っています。新政府軍と同盟軍の間に挟まれる形となり、藩の存続すら危ぶまれた戊辰戦争時に活躍したことで、新潟県の郷土偉人の一人となっているようです。

架空の人物と、実在する歴史上の出来事と偉人が交錯する映画【十一人の賊軍】が、どんなラストを迎えるのか気になりますね。

 

まとめ

十一人の賊軍 実話 元ネタ 映画 実在

映画【十一人の賊軍】の元ネタには歴史上の実話や実在の人物が登場しますが、『勝てば官軍』という言葉が生まれた明治維新時代が舞台となっています。

『十一人の賊軍』は昭和時代に描かれた幻のプロットですが、一度破棄され長らくその存在は眠ったままでした。それが、令和の今になって映画化されたことには現代社会へのアンチテーゼとしての意味が含まれているのかもしれません。

『勝てば官軍』という言葉自体が錦の御旗のようになって、昭和には実在しなかったインターネットの波及によって、多勢に無勢の行き過ぎた正義感が蔓延しているような気がするからです。

そんな風に考えると、少しの間違いすらも許さない不寛容な時代とも言われる令和の今、間違いを犯した罪人に『勝てば無罪』という人参をぶら下げた映画【十一人の賊軍】が、現代人にとってどう響くのかが楽しみな作品でもあります。

実在する歴史の流れをある程度知っている現代人が見た時、新政府軍と新発田藩、そして賊軍として戦う11人のどの立場に一番感情移入するのか人によって見方が変わるかもしれません。

一教科として淡々と習ってきた歴史ですが、そこには実在の人物が懸命に生きた実話がたくさん存在しています。

映画【十一人の賊軍】はフィクション作品とはいえ、実在の戦いなど実話部分がベースとなっていますので、日本の歴史上とても大きな意味を持つ時代の転換期を色々な角度から楽しめる作品なのかもしれませんね。

映画【十一人の賊軍】は、本屋大賞を受賞されている人気作家・冲方丁さんが、元ネタ・笠原和夫さん、脚本・池上純哉さんの書いたものを小説として書き下ろされ、すでに発売されています。先に小説で結末を知ってから見るもよし、前情報なしで観に行くも良しの映画【十一人の賊軍】は2024年11月1日公開です!

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