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遠いところ映画はどこまで実話?沖縄の問題は監督の生い立ちにも関係してる?

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Shie
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映画「遠いところ」はどこまで実話なのか、また、この映画で描かれる沖縄の問題が監督の生い立ちに関係しているのかを調査しました。

2023年7月7日公開の映画「遠いところ」は、沖縄のコザを舞台に若年母子が貧困、DVといった問題を抱えながら生きていく様を描いた作品です。

工藤将亮監督が手がけた長編映画3作目となるこちらの作品、いったいどこまでが実話なのでしょうか。

また、工藤監督がどのような思いでこの映画を作り、監督の生い立ちとどのように関係しているのでしょうか。

今回はこの2点について調べてみました。

沖縄の若年層が抱える問題をリアルに描いた映画「遠いところ」の制作秘話に迫ります。


映画【遠いところ】はどこまで実話なの?

映画「遠いところ」は、工藤将亮(くどうまさあき)監督が長い時間をかけて取材し、実話をもとに製作された映画です。

主人公のアオイをはじめ登場する人々は実在の人物ではなく、この映画は実話ではありません。

しかし、アオイの境遇は限りなくリアルで、「遠いところ」という作品自体はフィクションではないと言えます。

なぜそう言えるのでしょうか。

工藤監督は2022年10月に開催された第23回東京フィルメックスで、この映画を作ったきっかけについてこのように語っています。

2015年ぐらいに、沖縄でのこういった若年母子の話や、“すごく若くて、貧しくて、子供を産んじゃって、親もいない”っていうことを書いたルポルタージュがたくさん何冊も出ていました。僕はなぜかそれに興味を引かれてずっと見ていたことが発端になります。

https://www.1st-generation.com/?p=6898

工藤監督は沖縄の子供の貧困やシングルマザーが抱える問題を扱ったルポを読み、2018年から4年もの年月をかけ沖縄で取材を重ねました。

沖縄の繁華街や支援団体などをまわり、ルポルタージュと同様の環境にいる少女たちから徹底的に話を聞きました。

貧困やDVといった問題だけでなく彼女たちの自立ということにも重点的を置き、時間をかけて取材したといいます。

4年もの年月をかけるというのはすごいことですよね。

それだけ“沖縄で起こっているリアル”にこだわったということでしょう。

この映画は実話ではありませんが、登場する少女たちの境遇は実話でありノンフィクションだと言っていいのではないでしょうか。


沖縄の問題と監督の生い立ちの関係は?

工藤監督がこの映画を作ったのは沖縄の若年層が抱える問題を扱ったルポルタージュを読んだことがきっかけでした。

監督がそのようなルポに興味を持ったのには、彼の生い立ちが関係しているようなのです。

工藤監督の来歴と、現在の沖縄が抱える社会問題について掘り下げてみます。


工藤将亮監督ってどういう人物?

まずは工藤将亮(くどうまさあき)監督の来歴を簡単にご紹介します。

1983年10月31日生まれ(2023年6月現在39歳)

京都府長岡京市出身

ビジュアルアーツ専門学校卒業

森田芳光監督、滝田洋二郎監督、行定勲監督などに師事する

主な監督作品:アイムクレイジー(2019年)、未曾有(2021年)、遠いところ(2023年)

工藤監督は、母も祖母もシングルマザーだったといいます。

金銭的な面でも精神的な面でも、成人するまでにはさまざまなご苦労があったことでしょう。

沖縄での先行公開記念舞台挨拶で、工藤監督はこのように語っています。

僕の母も育ててくれたおばぁもシングルマザーでした。ですのでこういう状況を知って、出てくる少女たちが自分のことのように感じこの作品を作りたいと思いました。

https://eigajoho.com/archives/251534

若くして母となった沖縄の少女たちに、工藤監督は自分の生い立ちを重ね合わせていたのですね。


沖縄が抱える社会問題とは

“映画「遠いところ」はフィクションではない”と先述しましたが、実際に沖縄の状況はどうなのでしょうか?

内閣府「沖縄の子供の貧困対策に向けた取組」によると

  • 1人当たりの県民所得:全国最下位
  • 母子世帯の割合:全国1位
  • 生活保護率:全国1位
  • 高校中退率:全国1位
  • 高校進学率、大学進学率、ともに全国最下位

以上のような結果となっています。

以前テレビのバラエティ番組で沖縄の人が自分の名前を漢字で書けないというのを見たとき、「さすが沖縄はおおらかだなぁ」なんて笑っていましたが、実際は全然笑える状況ではありませんでした。

国もいろいろな施策を打ち出しているようですが、あまりうまくはいっていないようです。


「心の自立」がほんとうの自立

沖縄では子供の貧困が深刻です。

国の施策はなぜうまくいかないのでしょうか。

その張本人である少女たちに取材を重ねた工藤監督はこのように言っています。

取材を通して感じたことは、経済的自立は必ずしも精神の自立を意味しないということ。

貧困は、物資的貧しさよりも、心について多く語られるべきで、生き方も、お金の使い方もわからない彼女たちが自立していくのは物資的なものを与えるだけでは不可能なのではと感じました。

https://a-port.asahi.com/okinawatimes/projects/a-far-shore/

この問題は、国がただ金銭的な援助をすればいいということではなく、彼女たちが「心の自立」をすることが大切だと工藤監督は言います。

沖縄の少女たちは、母も祖母も若くして子供を産み、学校には行かず働き、貧しくてもそれが普通で、その状況は彼女たちにとっての“日常”なのです。

貧困もDVも“当たり前”で、つらくても我慢する。

なぜならそれが“普通”だから。

この“負の連鎖”を断ち切り、彼女たちが自分の生き方を考え行動できるようになるのが課題です。

映画に出てくるアオイのように「この状況から逃げたい」と思ったときに、自分の居場所を見つけ本当の意味で自立できることが、この問題の本当の解決となるのではないでしょうか。


まとめ

映画「遠いところ」はどこまで実話なのか?

沖縄の問題は監督の生い立ちにも関係している?

ということについて調査してきました。

工藤監督は時間をかけて丁寧に取材を重ね、作品に沖縄の実情を反映させました。

この映画に出てくるアオイたちは実在の人物ではありませんが、彼女を取り巻く状況は実話と言っていいと思います。

映画「遠いところ」を通して、こういった問題が多くの人に認知され議論されていくことが問題を解決していく第一歩となるのではないでしょうか。

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