リトルマーメイドと人魚姫の違いは?アリエルが泡にならないのはなぜ?
映画『リトルマーメイド』は、アンデルセンが書いた『人魚姫』が原作になっています。
しかし、映画の方ではどうもところどころ原作との違いがあるようなのです。
その違いというのは、物語でのアリエルのラストが異なっているというもの。
何でも人魚姫・アリエルはラストで泡になる・泡にならないという異なった終わり方をしているらしいのです。
そこで今回は、映画『リトルマーメイド』について、人魚姫のアリエルが泡になる のか?泡にならないのか?
映画と原作での違いを徹底検証してみました。
Contents
リトルマーメイドと人魚姫の違いは?
映画『リトルマーメイド』は、原作『人魚姫』とラストが大きく異なっています。
原作『人魚姫』は、ハッピーエンドでは終わらなかったからです。
映画と原作で大きく違っているラストとは、どのようなものだったのでしょうか?
映画と原作の違いを検証してみたいと思います。
映画と原作は随所に異なりラストが決定的に違う
原作の「人魚姫」が悲恋であるのに対し、映画の「リトルマーメイド」はディズニー用にハッピーエンドに作り替えています。
その結果、原作と映画ではラストだけでなくところどころ異なっている部分があることが分かりました。
地上に出ることを許されない掟が原作では15歳になるとOKだった!
海の世界にあるアトランティカというところに住んでいる16歳の人魚姫「アリエル」。
アリエルは、地上に強いあこがれを持っていました。
しかし、人魚は地上に出ることを硬く禁じられていました。(映画:リトルマーメイド)
映画では地上への好奇心が止められなかったアリエルが、とうとう地上へ向かい海の上から顔を出して地上を始めて見たことになっています。
しかし原作では、15歳になったのでアリエルも海の上に行けるようになり海から顔を出して初めて地上を見たとなっているのです。
そこに浮かんでいる船に佇む16歳の王子エリックに、アリエルが一目惚れをするところは原作も映画も同じになります。
原作にはいたアリエルの祖母は、映画では存在しない
海の上の世界へ行きたいアリエルは、祖母に相談します。
祖母からは人魚は300年生きられるが、人間は短命であること。
しかし、死ぬと泡になる人魚と違い、人間は死ぬと魂となり天国という素晴らしい世界で永遠に生き続けられると聞きます。
王子に愛されればアリエルも魂を授かれるが、見た目が違う人魚を王子が愛するはずがないと告げられます。
それでも諦めきれなかったアリエルが、魔女アースラに相談にいくのです。
(原作:人魚姫)
原作では魔女アースラに会う前に、祖母に相談をするのです。
まずは身内に相談というのは、もっとも自然な気がしますね。
しかし、ディズニーの映画では祖母は存在しておらず、いきなり魔女アースラのところへ行きます。
アースラは人魚の尾を人間の足に変える薬があることを教え、しかし人間の足を得ると歩くたびにナイフを踏むような激痛を味わうことになる。
それでも王子に会いたかったアリエルは、その条件を呑んで薬を手に入れます。
その際、アースラが条件を出したのは、アリエルの美しい声を引き換えるというものでした。
声を失っても人間になりたかったということでしょうか?
このように原作と映画ではストーリー自体は原作に沿っていますが、細かいところで登場人物が足されていることもあるのです。
決定的な違いはラスト
映画『リトルマーメイド』が原作『人魚姫』と決定的に違っているところは、ラストです。
原作では、アリエルはとうとう王子エリックとは結ばれなかったので、自ら海に身を投げ泡となります。
しかし、映画ではみごと王子エリックの心を射止め、またアリエルにも人間の心が目覚め、人間と同様に魂も授けられ王子と結ばれるというラストでハッピーエンドになっているのです。
実はこれまで世に出た童話なども、ディズニーの手にかかればすべてハッピーエンドでラストを迎えています。
例えば、「三匹の子豚」や「シンデレラ」などです。
ディズニー童話の方が有名になったために、ディズニーで公開された童話が本当の話のように私たちにはインプットされています。
しかし原作の方では今回の「人魚姫」のように愛する王子と結ばれず、泡となって消えるという寂しくも哀れな最期を遂げているのです。
アリエルが泡にならないのはなぜ?
原作では、王子との愛が実らずアリエルは海に身を投げ泡となってしまうというのが結末でした。
しかし原作は悲恋のように思われていますが、実はアリエルは自力で魂を得ることに成功しています。
この成功でアリエルは、泡とはならなかったのです。その背景には次のようなストーリーが展開されていたからです。
アリエルが自力で魂を得られたわけ
魔女アースラから貰った人間の足になれるという薬を飲みほしたアリエルは、足の激痛に耐えられず海辺で気絶してしまいます。
このとき、アリエルは人間の男に助けられました。その助けた男こそがアリエルが憧れ続けたエリック王子です。
エリックはアリエルを妹のように可愛がります。そして、次第にアリエルに心が動き始めます。いい方向に好転したように思えますが、実はエリックには別の想い人がおりました。
それは修道院にいる女性でした。実はアリエルが海の上の世界を初めて見て船に佇むエリック王子に一目ぼれしたとき、突然の事故に遭い船が転覆してしまうのです。
このときアリエルがエリック王子を助け、海辺に抱き上げて助けます。しかし、このとき人間の女性が来るのに気づき隠れたアリエル。そのため、エリック王子はその女性が自分を助けた女性だと勘違いしていたのです。
アリエルは助けたのは自分だと伝えたかったのですが、声を失っているので伝えられません。エリック王子がアリエルに心を動かしたのは自分を助けた女性の居場所が分からずもう会えないと悟り、どうせ会えないならとアリエルに気持ちが向かったのです。
つまり、エリック王子にとってアリエルはその女性の代わりでした。
そんな折、エリック王子に隣国の姫との縁談が持ち上がります。
乗り気ではなかったエリック王子ですが、その姫を見て驚きました。その姫こそが海で自分を助けた修道院に入っている女性だったのです。修道院では花嫁修業のために入っていました
エリック王子は、その姫との結婚を即決します。なんだかこのエリック王子とは、酷い男に思えますね。
悲しみに打ちひしがれたアリエルが海辺で泣いていると、海からアリエルの姉たちが現れ、アリエルに短剣を渡します。
「私たちの美しい髪と引き換えに貰った短剣です。この短剣で王子を刺しその返り血を浴びることで人魚に戻れるから、王子を殺して私たちのところへ帰ってきなさい」と。魂を持たない人魚のアリエルは、言われるまま王子の元に向かい眠っていた王子に向けて剣を振り上げます。
しかし、とどめを刺すことはできませんでした。なぜなら、「愛する王子は今幸せの絶頂にいる。その王子の幸せを壊すことはできない」
そう思ったアリエルは、海辺でその短剣を投げ捨て自分も海に身を投げ泡となったのです。このとき泡となったのですが、魂を持たないはずの人魚のアリエルが愛する王子を殺めることができなかったときこそ、アリエルが自力で魂を得た瞬間だったのではないでしょうか?
そして、一度は泡となったアリエルがその行いにより精霊へと変化したのです。
こう考えると、他の女性との結婚を望めないからアリエルに気持ちを動かした王子とそのまま結婚していても、アリエルはハッピーエンドにはならなかったと思います。
別の女性の代わりに愛されても、それは本当の愛ではないからです。
原作は王子との愛が実らず泡となったことで悲恋のラストを迎えたようになっていますが、実はアリエルにとっては幸せだったと考えられます。
『人魚姫』のアリエルは著者自身を投影していた
出典元:https://hugkum.sho.jp/458734
原作『人魚姫』を描いたのは、ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805年~1875年)です。
実は、この『人魚姫』は、著者であるアンデルセンが自分自身を人魚のアリエルに投影していたという説がありました。
アンデルセンは2度失恋していた
アンデルセンは『人魚姫』を執筆する前、実は2度ほど失恋しています。
それも立て続けにフラれていたというのです。
それがこの『人魚姫』の物語に大きく影響していたといいます。
この話は、アンデルセンを研究していた人たちの間ではもはや定説になっているのだそうです。
アンデルセン自身は、この人魚姫のアリエルのように失恋しても真実の愛は保ち続け、自分犠牲もいとわず相手を一途に想い続けました。
原作『人魚姫』は、そのブレないアンデルセンの強い愛をみごとに投影した物語だったのでしょう。
リトルマーメイドのまとめ
映画『リトルマーメイド』は、いよいよ2023年6月9日(金)に公開されます。
ディズニー映画としては有名ですが、原作の「人魚姫」のストーリーはディズニーの人気と共に薄れていきました。
今回は、映画と原作の違いやヒロインの人魚姫アリエルは、泡になるのか泡にならないのか。
映画『リトルマーメイド』の公開を前に、原作との違いとアリエルのラストが泡になるのか、泡にならないのかを解説しました。
原作は悲恋とされていましたが、映画ではどのようにそれがハッピーエンドになっていくのか?
もうすぐ明らかになります。