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サンセット・サンライズ 映画と小説の原作の違いは?魅力を徹底解説

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映画【サンセット・サンライズ】が、2025年1月17日に公開されます。

原作は楡周平さんが書かれた同名小説『サンセット・サンライズ』。

一流企業・シンバルに勤め川崎に住む西尾晋作が、コロナ禍を機に趣味の釣りを充実させるべく、東北に移住したことで思いもよらぬ運命に導かれていく物語です。

疎外された人や異端とされる人々の生き様を撮り続けてきた社会派監督・岸善幸さんと、時事や社会問題をうまく取り込みどんな小難しい設定にも独自の笑いを組み込む脚本家・宮藤官九郎さんがタッグを組んだことでも話題の映画【サンセット・サンライズ】は、原作小説との違いもいろいろと楽しめそうですね。

そこでこの記事では、映画【サンセット・サンライズ】について、原作との違い小説が持つ魅力について調べまとめてみました。

 

映画【サンセット・サンライズ】原作小説のあらすじとその魅力とは

やまこ
やまこ
こんなにも『普通』の役を演じる菅田将暉さんを見るのは久しぶりな気がするね。

 

原作小説『サンセット・サンライズ』のあらすじ

世界中を襲った新型コロナのパンデミックで、『三密』や『ソーシャルディスタンス』といった新しい言葉が叫ばれ、人との接触を最低限まで避けねばならないという閉塞感に満ちた東京で、一流企業・シンバルは他社に先駆けてリモートワークを取り入れました。

これを機に、趣味の釣りをもっと充実させられるのでは?と考えた主人公・西尾晋作は、釣り仲間に聞いた釣果最高の東北の町・宇田濱にとある物件を見つけ、突如引っ越しを決めます。

大好きな釣りが楽しめる三陸の海に魅せられただけのお気楽な移住でしたが、未知のウィルス・コロナが蔓延している東京から来たという事で、2週間の自宅謹慎を命じられた晋作は、

『まるでばい菌扱いじゃないか!』

と内心憤るも、三陸の海は毎日大量の魚が釣れ、会社の同僚と繋ぐリモート吞みでは羨ましがられ鼻高々です。

そのうえ、大家の関野百香はマスクをしていても美貌が伝わる素敵な女性…となれば、晋作の心が浮き立つのも当然でしょう。

しかしこの百香、独身男性がゴロゴロしている宇田濱において憧れの的のような女性であり、そんな彼女が長らく空き家にしていた自宅を男に貸し出したという噂が独り歩きしてしまったため、晋作に宇田濱の人々は興味津々です。

自分の与り知らぬところで噂に尾ひれがついて、百香の結婚相手として認識されたまま宇田濱唯一の居酒屋・海幸を訪れた晋作は、百香に憧れる店主ケンや常連・タケからの冷たい対応に首をかしげるばかり。

それでも百香が誤解を解いたこともあり、持ち前の人当たりの良さとポジティブマインドで少しずつ宇田濱に馴染み始めた晋作は、近くの高齢女性ともご近所付き合いをしていましたが、ある日その女性が亡くなってしまった事で彼の運命は大きく変わり始めます。

女性が亡くなった事で、古いけれども立派な古民家がそのまま空き家になってしまう事を残念に思った晋作は、リモート吞みに参加していたシンバル社長・大津誠一郎に

『空き家を使って地方へのお試し移住』

を提案し、新しい事業のチャンスを考えていた社長から、空き家プロジェクトのリーダーに任命されたのです。

こうして、役場の空き家担当である百香と協力しながら活動していく中で、彼女の辛い過去とも向き合っていく晋作…。

これは、東日本大震災と過疎の町、そしてコロナ禍や空き家問題など、現代社会が抱えている課題を融合させながら、美しい東北の風景や食、そして人々の温かさに包まれる物語です。

やまこ
やまこ
晋作が引っ越したのは、築9年の3LDK 、家具家電のみならず食器から寝具まですべてそろっているのに未入居な上に家賃8万円という好物件!

どうしてこんな好物件が未入居で空いていたのか気になるわね。

 

原作小説『サンセット・サンライズ』の魅力を徹底解説

原作の『サンセット・サンライズ』には、主人公・晋作を通して地方移住のメリットと問題点を描き出すとともに、東北の魅力がこれでもかと詰め込まれています

著者の楡周平さんは、ハードボイルドから経済小説を得意とされる作家さんですが、この『サンセット・サンライズ』では、東日本大震災で大きな被害を負った三陸の町の悲しみと強さがとても柔らかな文章で綴られ、読んでいるうちに自分もその場にいるような臨場感すら感じられました。

やまこ
やまこ
読書で感じる臨場感ってなに?

『サンセット・サンライズ』にどんな魅力があるの?

りと
りと
『読んでいるだけでおなかが空いちゃう』

との感想が寄せられるほど東北の食が魅力がてんこ盛りな『サンセット・サンライズ』には、その他にも読者の心を掴む魅力がいっぱいなんですよ。

そのいくつかをご紹介しましょう!

1:なんといっても食べ物!東北の食事は魅力がいっぱい!!

『サンセット・サンライズ』には、海はもちろん山まで網羅する東北の食の魅力が沢山詰め込まれています!軽く例を挙げるだけでも

  • ぷっくりと膨らんだ象牙色の生牡蠣
  • イカの腑を使ったイカ大根
  • アワビの殻で蒸しあげたウニ(焼きガゼ)
  • 親指ほどもあるタラの芽の天ぷら
  • シドケとアケビの芽のお浸し
  • ヤマオガラと山ウドの酢味噌和え

などのラインナップが、著者・楡さんの巧みな描写力により読み手の胃袋を刺激してくるのです。

晋作が釣る魚や章男に連れられて獲った山菜のほか、居酒屋・海幸で店主のケンが作る食事など、何としてでもこの場に参加して一緒にご相伴にあずかりたくなるくらいのリアルな描かれ方がたまりません。

東京では流通していない新鮮な食材や地方ならではの調理法など、出てくる食事に晋作が感動して喜ぶ姿が羨ましくなると同時に、地方出身者にとっては自分の地元にも全国展開していない食事や、地元で食べた方がおいしい食材などを思いださせ郷愁すら誘います。

東北の食事に馴染みがなくても自分の地元に帰りたくなるような、そんな空気感すらはらんでいる所も『サンセット・サンライズ』の大きな魅力の1つと言えるでしょう。

やまこ
やまこ
文字を追うだけでもそんなに美味しそうな食事があるだなんて! それがどんな食事なのか映画で見られるのが楽しみだね!

2:親近感を抱かせるキャラクターたちの魅力

『サンセット・サンライズ』には、特殊能力があったり猟奇的な殺人犯が出てくるような、スリルを感じさせるキャラクターは出てきません。

移住というスパイスを加えつつも、晋作や百香などいわゆる普通の人が出てきて、私たちと同じように悩みながらも美味しいものに眉尻を下げる、たったそれだけの事なのですが、その『それだけ』にこそ魅力が詰まっているのです。

それは各キャラクターが普通であるが故の親近感に秘密があるのでしょう。

  • 西尾晋作:誠実な人柄ながら、時にコソッと心の中で悪態をついている。
  • 関野百香:辛い過去を抱える宇田濱のヒロイン。
  • 関野章男:晋作に海や山など田舎の食を伝えつつ百香を支えている。
  • ケン  :百香に憧れている為、晋作への当たりが強かった。
  • タケ  :趣味はパチンコ。ケンと同じく晋作への当たりが強かった。

彼らの誰を見ても、特別な何かを持っているわけではありませんよね。

確かに百香も章男も宇田濱の彼らには大津波という辛い過去があります。しかし、その辛い記憶に全ての共感を寄せる事は出来なくても、やはり彼らは私たちから遠い存在だとは思えません。

リモートワークと趣味を天秤にかけ、両方を手にする為に宇田濱への引っ越しを即決した晋作のポジティブマインドや、悲しい過去に捉われながらも晋作と出会った事で変わっていく百香に、また章男の深い愛情と想いを感じるなど、彼らを知れば知るほど側にいて応援したくなってしまうのです。

そうしながら、時々出てくるケンとタケに笑わせて貰ったり、調子がいい奴め!と突っ込んでみたくなったり。

『サンセット・サンライズ』には、身近に感じてしまうキャラクターがそこで確かに生きていると感じさせる力があり、それがまた作品の魅力となっているのです。

りと
りと
東日本大震災という事実があるため、百香の過去に何があったのかは想像に易いわけですが、しかしそれでも彼女の過去が明かされる時には、章男の深い愛情と百香の切なさに涙が出てきます。

こんなふうに、キャラクター達に共感や親近感を寄せながら読み進められる『サンセット・サンライズ』は、東北へ、三陸へと彼らの近くに行ってみたいと思わせる力がるように感じました。

3:東日本大震災とコロナ禍という、近年の日本を象徴する大きな災難が交わる構成

最後に『サンセット・サンライズ』の構成の魅力について触れておきましょう。

地震大国である日本は、昔から数え切れないほどの地震があり、多くの方が犠牲となってきました。そんな歴史を持つ日本において、東日本大震災は観測史上最大規模の地震と想定外の大津波により、甚大な被害を出したことは人々の記憶にも新しいでしょう。

そんな東日本大震災と、今なおテレビをつければニュースに上がってくるコロナ、この2つの結びつけが無理なく組まれた『サンセット・サンライズ』は、まるで温かく背中を押してくれるような物語でした。

ことさらに哀しみを押し出してくるのではなく、震災もコロナも大変だったし取り返しのつかない痛みもあるけれど、それでも、人生の岐路というものは自分で増やす事が出来る、と晋作が教えてくれたような気がします。

彼の場合は、生活の主軸に趣味を据えたい、という気持ちから出た行動でしたが、晋作のように人生の舵を切れるチャンスがあるのならチャレンジしてみるのも良いのではないか?なんて、前向きな気持ちになれるのです。

『サンセット・サンライズ』は、なんでもない日常を送れる尊さと、その日常をアップデートしようと頑張る熱さ、という魅力にも溢れていました。

りと
りと
確かな哀しみは存在するのに、そこに引っ張られすぎる事無く前向きな構成になっているのは、本当に素敵だったなと思います。

 

映画【サンセット・サンライズ】で描かれる原作小説との違いは?

やまこ
やまこ
 原作をうまく変えて脚本を練り上げる宮藤さん、通称クドカンさんがどんな物語にしたのか、映画と原作の違いが気になるわ。

 

映画【サンセット・サンライズ】を彩る豪華なスタッフ&キャスト陣

映画【サンセット・サンライズ】の監督を務めたのは、岸義幸さんです。岸監督は、東日本大震災の津波被害を受けた方々の再生を描いた『ラジオ』で国際エミー賞テレビ部門を受賞されるなど、以前から東北を舞台にした作品を作られています。

そして脚本は、宮城県出身の宮藤官九郎さん。宮藤さんというと、社会問題を風刺するようなどこかシュールで独特な目線の面白さに定評がある脚本家さんですが、岸監督は

男性
男性
原作の東北人のキャラについて、宮藤さんと笑い合えたことで、彼の書く脚本で映画化したいと思ったんです。

とお話しされています。

こうして岸監督初のコメディ作品となった映画【サンセット・サンライズ】が誕生したわけですが、お2人の作り上げる世界観を表現するキャラクターにも、実力派俳優がキャスティングされました。

主人公の西尾晋作を演じるのは、岸監督の【あゝ荒野】で数々の賞を受賞された菅田将暉さんです。

やまこ
やまこ
実力派として様々な作品に引っ張りだこの菅田さんといえば、不可解な事件に巻き込まれたり切ない恋心を繊細に演じてきたわよね!

なのに【サンセット・サンライズ】の晋作はポジティブな行動力があるとはいえ至って普通の人。ある意味、等身大の菅田さんに近い部分もあったりするのかしら?

そして、晋作のほか宇田濱の独身男性の視線を一身に集めるヒロイン・百香には、TVドラマ『花より男子』などのラブコメから【八日目の蝉】のようなシリアスなものまで、幅広く演じ切る井上真央さんがキャスティングされています。

りと
りと
井上真央さんもまた【八日目の蝉】でアカデミー賞最優秀主演女優賞されている実力派です。

大ヒットドラマ『花より男子』でも、コメディエンヌとしての才覚と恋心に揺れる切ない表情の落差が素晴らしく、たくさんの視聴者に笑いと涙を届けてくれました。

そんな井上真央さんが、辛く忘れられない過去を背負いながらも、今を一生懸命生きる百香をどんな風に魅せてくれるのか楽しみですね。

その他、

  • 百香と同居する関野章男に中村雅俊さん
  • 居酒屋の店主ケンに竹原ピストルさん
  • 常連客のタケに三宅健さん
  • 百香の幼馴染・持田仁美に池脇千鶴さん
  • シンバル社長・大津誠一郎に小日向文世さん

がキャスティングされており、映画を盛り上げています。

りと
りと
関野章男役の中村雅俊さんもまた宮城県出身です。

土地の言葉で喋るつもりがイマイチ方言がうまくいかなかったとお話しされていた中村さんの章男や、実際に独身四十路街道を走る三宅健さんが、パチンコだけが唯一の趣味というタケをどう解釈されたのか、そんなところも映画【サンセット・サンライズ】の楽しみの1つですね。

 

映画【サンセット・サンライズ】と原作小説の違いを大予想!

映画【サンセット・サンライズ】は公開が2025年1月17日となっていますので、2024年12月3日現在その内容をネタバレで知ることはほぼ不可能です。

大まかな流れは原作をたどるのでしょうが、しかし公開されている予告動画には小説には無かったシーンがいくつか見て取れました。

そこで、映画と原作小説の違いについて少しまとめておきましょう。

晋作が引っ越した先の家賃が8万円から6万円になっていたり、キャラの肩書が少し変わっていたりという細かな変更のほか、晋作が小さな商店で電子決済を使おうとするようなシーンは小説にありません。

しかし、そんな些末な違いが気にならなくなるほどの大きな変更は、何と言っても『モモちゃんを守る会』なるものが映画には存在している事でしょう。

原作では、百香に憧れ結婚したいと願う男性が多いという描写はあれど、晋作と直接言葉を交わすのはケンとタケくらいのもの。

それが予告動画では、このケンとタケに加えて山城進一郎と平田耕作というキャラクターを加えた『モモちゃんを守る会』のメンバーが、晋作の家に乗り込んだりプロレス技をかけるようなシーンが見られたのです。

この変更が宮藤さんの発案によるものなのかは不明ですが、原作では晋作の家に訪ねたつもりが百香に対応されたことで、大きな衝撃を受けヨロヨロと立ち去るしかなかったあのケンとタケが、まさかの『モモちゃんを守る会』を結成しているとは一体どういうことなんでしょう!

役場のような場所に押しかけ晋作に詰め寄るタケの姿など、映画の彼らが躍動的に動くことで、どんな風に【サンセット・サンライズ】を搔き乱してくれるのか、ものすごく楽しみです!

りと
りと
『モモちゃんを守る会』のメンバーと晋作たちが河原で鍋を囲むシーンも印象的でした。

クドカン流【サンセット・サンライズ】では、原作よりも笑える楽しい場面が増えているのかもしれませんね。

 

まとめ

この記事では、映画【サンセット・サンライズ】について、原作小説との違いやその魅力について調べてみました。

原作小説は、普通のサラリーマンが趣味の釣りを充実させるために三陸の町・宇田濱に引っ越したことで、人生が思わぬ方向に転換していく物語で、映画化に当たってそこに大きな違いはないように思います。

違いと言えば、宇田濱のヒロイン・百香に親衛隊のような存在『モモちゃんを守る会』が結成されている事。原作の方では大して大きな動きのないタケとケンが、映画【サンセット・サンライズ】では百香の為にどんな活動をしているのか気になりますね。

百香との関係を早合点して2人を引っ掻き回しつつ、煮え切らない晋作に強い発破をかけたりするのかな?など、想像するのも楽しい映画【サンセット・サンライズ】は、2025年1月17日公開です。

東日本大震災で大きな被害を受けた東北を舞台にした映画が、奇しくも、阪神淡路大震災が起きたのと同じ1月17日の公開となります。

そこに意味を持たせているのかは分かりませんが、辛い過去を抱えている方、何か打開したい思いがあるなど強い気持ちがなくても、ただただ仲間の家に招かれてその土地のご馳走を頂く、そんな気分で楽しめそうな懐の大きな映画【サンセット・サンライズ】は、是非大きなスクリーンでご覧ください!

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