関心領域(映画)は実話なの?結末に家族はどうなるかネタバレで紹介
この記事では、2024年5月24日公開予定の映画『関心領域』について、実話なのか、結末に家族はどうなるかなどネタバレも含め紹介していきます。
関心領域、聞き慣れないタイトルですが、原題は『The Zone of Interest』。
アメリカ合衆国・イギリス・ポーランドによって共同製作された歴史映画です。
しかしこの題名から映画の内容がわかる人はほとんどいないのではないでしょうか。
物語の舞台は第二次世界大戦中のポーランド。
スクリーンの中で描かれているのは戦争ではなく、美しく整った豪邸で幸せに暮らす家族の姿です。
しかし、その豪邸の隣には、ナチスドイツが建設した最大級の強制収容所アウシュヴィッツがありました。
豪邸で暮らしていたのは、アウシュヴィッツ所長のルドルフ・ヘスとその家族だったのです。
このように加害者側の視点からホロコーストを描いた映画は珍しく、その点でも注目作だと言えます。
それでは、関心領域(映画)は実話なの?結末に家族はどうなるかネタバレで紹介と題してお届けします!
Contents
映画『関心領域』のストーリー
5月24日公開『関心領域』を鑑賞。アウシュヴィッツ強制収容所の隣の夢のマイホームに暮らす家族の幸福な日々を描いたホームドラマ。教科書に載っている人類の繁栄だけでなく今日の私たちの幸福も誰かの謂れなき犠牲の上に成り立っているかもしれない。音で見せる映画。@fansvoicejp#関心領域 pic.twitter.com/lHkj8hRvwT
— ノーシン (@nothin0707) March 25, 2024
「関心領域」タイトルの意味
関心領域 @FansVoiceJP 試写
音響重視が示されるタイトル直後から引き込まれた。
デジタル撮影と時制ジャンプによる現代的視線。座視する大人と、不穏な音に泣き叫ぶ赤ん坊の対比。
死屍累々を養分に咲き誇る花々の象徴性が見事。
阿鼻叫喚が表現された音響が地獄。— 串 (@6270Kf) March 25, 2024
まず、この映画のタイトル『関心領域』(原題「The Zone of Interest」)の意味について調べました。
「The Zone of Interest」とは、アウシュヴィッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域に対し、ユダヤ人虐殺を実行したナチスドイツ親衛隊がつけた呼び名です。
収容所のすぐ近くに暮らしていたこの映画の登場人物達が、人類史上に残る犯罪行為が行われている傍らで日々何に関心を向けていたのか。
逆に言えば何に無関心であったのかを考えさせる、という意味も込められたタイトルではないでしょうか。
あらすじ
試写会『#関心領域』鑑賞🎬
豊かな自然に囲まれた一家の何気ない日常を描いている。ときおり銃声や悲鳴が聞こえてくるが、家族たちは気にもとめず、まるで自然音の如く受け入れている姿にぞっとした。アウシュビッツを今までにない視点で描いていて一見の価値ありだと思う。@fansvoicejp @ZOI_movie pic.twitter.com/5W3ouvVPNh— さよこ🌻 (@ribbon03_com) March 25, 2024
スクリーンに映し出されるのは、アウシュヴィッツ収容所の隣に面した豪邸で暮らす、収容所の所長ルドルフ・ヘスとその妻ヘドウィグ、そして子供5人の家族による穏やかな日常です。
ストーリー自体には大きな事件も起こらず、平和で豊かな一家の生活が淡々と描かれていきます。
しかし史実では、ルドルフ・ヘスは1940年から1943年にかけてアウシュヴィッツの責任者として、その間に殺された推定110万人(うち約100万人はユダヤ人)の死に関わっていました。
彼らの生活は、すぐ近くで行われている虐殺、強制労働といった戦争犯罪とは一見無縁ですが、もちろん何が行われているか知らないはずはありません。
それは私達観客にも、銃声や叫び声、空を時折黒く染める煙、家族の交わす何気ない会話や視線、そして気配から着実に伝わってくるはずです。
映画『関心領域』の結末(ネタバレあり)
先行上映で「関心領域」を観てきた。アウシュビッツ強制収容所の中を描いた作品は観たり読んだりしてたけど外側を描いた作品て初めてかも。普通に生活してんだよな〜と思ったら今の自分にもリンクするし残虐なシーンが全くない分音響が怖かった。エンディングの曲は恐怖にも怒りにも聞こえて夢見そう。 pic.twitter.com/2BRbmPUfzX
— ___mi___ (@___mimatty__) March 10, 2024
映画の終盤、ルドルフ・ヘスはナチスの親衛隊の秘密会議にて、70万人のハンガリー系ユダヤ人をアウシュヴィッツへ移送して殺すという任務を命ぜられます。
その後、ヘスが嘔吐を催しながら一人で暗闇へ続く階段を下るシーンは、彼自身の心境を具象化したかのような陰鬱さに満ちていました。
確かにヘス自身は戦争犯罪の実行者、責任者の一人でありながら、平和な一家の主という顔も持っていました。
彼を含むナチスドイツの犯した人道への犯罪は到底許されるものではありませんが、もし少しでも人間らしい感情が残っていたのであれば、自らの良心と、家族を守る役目の狭間で人知れず苦しんでいたのかも知れません。
家族のその後について、映画でははっきりとした答えはありませんでしたが、史実ではナチスドイツの敗戦後、ヘス一家は身分を偽って逃亡します。
ヘス自身は翌年逮捕され、ポーランドで戦犯として処刑されましたが、彼の妻子はその後離散し、過酷な運命を辿ったようです。
見どころ
#関心領域 @FansVoiceJP 試写にて
アウシュビッツ収容所の隣に住む人々の話
オスカー音響賞受賞納得🏆
音によるホロコースト表現は圧巻!
恐怖と気持ち悪さ表現がどえらかった。
構図も緻密に計算されていて、映像表現も凄かった。
語り継がれるべき新しいホロコースト映画の誕生を感じた。 pic.twitter.com/0WL8QNqLhL— ティム (@tm_movie24) March 25, 2024
アウシュヴィッツをテーマにした映画は古くから数多く作られてきました。
しかし、この『関心領域』がユニークなのは、アウシュヴィッツの犯罪行為を表現するために、あえて具体的な行為の映像は全く用いず、代わりに大量の死を暗示する煙、囚人の遺灰で濁った川といった抑えた表現を多用していることです。
また、銃声や叫び声、不穏な雰囲気を思わせる音響で、画面の外で何が行われているのかを想起させ、一切の映像がないために余計に観るものの想像力を掻き立てます。
映画の観客である我々自身も、すぐそばで今も行われている戦禍や残虐行為といった現実に対し、見て見ぬふりをしていないか?と問いかけられているのかも知れません。
映画『関心領域』は実話なのか?
#関心領域
ジョナサン・グレイザー監督
アカデミー賞 国際長編映画賞受賞時スピーチ
全訳
★★★
アカデミー協会にお礼を言います。さらにA24、Film 4、Access、ポーランド映画協会、国立アウシュヴィッツ=ビルケナウ博物館の信頼と導きに感謝します。…— 『関心領域』公式アカウント (@ZOI_movie) March 11, 2024
さてこの『関心領域』が実話に基づいているのかどうか、気になると思います。
監督を務めたジョナサン・グレイザーは、映画化にあたり2年をかけて主人公であるルドルフ・ヘス夫妻に関する文献の徹底的な調査を行っています。
彼は、ヘスとその家族がどういう人格であったかや、周囲の人々との関係性などを丹念に調べながらリアリティ溢れる情景を描き上げました。
その結果、人類史上稀に見る大虐殺の実行責任者であったルドルフ・ヘスが家庭では良き夫、良き父であったという事実を知った私達は、暗澹とした気持ちにさせられるでしょう。
そして、彼の理想的な家庭と壁一枚を隔てたところに存在したアウシュヴィッツという地獄のコントラストが余計に際立ってくるはずです。
各国映画賞などの評価
#関心領域
★★★
第96回アカデミー賞
国際長編映画賞 音響賞
2部門受賞
★★★#Oscars2024 pic.twitter.com/41LRk3BMuC— 『関心領域』公式アカウント (@ZOI_movie) March 11, 2024
さて、映画『関心領域』は国際的に高い評価を受けているので一部を紹介したいと思います。
第96回アカデミー賞の国際長編映画賞と音響賞の2部門を受賞、フランスのカンヌ国際映画祭ではパルムドールに次ぐグランプリに輝きました。
ユダヤ系でもあるグレイザー監督はアカデミー賞受賞スピーチで、現在の中東情勢についても触れています。
「ホロコーストが乗っ取られ、何の罪のない人々が犠牲になっています。イスラエルの犠牲者たち、ガザ地区に関する攻撃、人間が犠牲になっています。どのような形で我々は抵抗できるのでしょうか?」
まとめ
「関心領域」@FansVoiceJP さんの試写会で鑑賞
画面は幸せな家庭の日常なのにずっと銃声や叫び声などが流れてそのギャップで心が死にそうだった。。
映画館っていう音響設備の整った環境じゃないとこの作品の良さは感じられないと思うので映画館でぜひ🙇🏻♀️🙇🏻♀️
#関心領域 pic.twitter.com/92yoDVtEC5— hana (@hana_movie0823) March 25, 2024
この記事では、関心領域(映画)は実話なの?結末に家族はどうなるかネタバレで紹介、と題して、あらすじや見どころ、各国映画賞の受賞歴などを紹介してきました。
この映画の舞台となった第二次世界大戦が終わったのはすでに80ねん近く過去の話ですが、21世紀の現在でも、残念ながら各地で続く戦争や内戦によって多くの人が苦しんでいます。
イスラエルとハマスによる戦争が激化するパレスチナ・ガザ地区など、民間人への非人道行為が常態化している現実を尻目に豊かな日々を謳歌する現代人にとってもこの映画が訴えるものは他人事とは言えなくなっているのかも知れません。
少しでも気になったらぜひ劇場に足を運んで、映画『関心領域』の結末を自らの目で、そして耳で確かめてください。